【対談】谷本俊介×河合拓 第15回大学選手権総括Part4 決勝戦の振り返り

【対談】谷本俊介×河合拓 第15回大学選手権総括Part4 決勝戦の振り返り

 8月23日から25日にかけて行われた第15回全日本大学フットサル大会は、多摩大学の初優勝という結果で終わった。令和初の大学フットサル大会を終えて、大会を視察した前立川・府中アスレティックFC監督の谷本俊介氏(現立川・府中TD)と大会を取材したFutsalXの河合拓が大会を振り返った。

河合 決勝戦の考察もしたいと思います。関東大会の決勝と同じカードになりましたが、レベルの高い試合でした。ただ、大事な先制点を取られたのに、多摩大が危なげなく勝った感じでした。

谷本 そうですね。やっぱり、攻守において、多摩大の方が上回っていたところがあったと思います。例えば攻撃においていうなら、金須恭弥選手と石井宗人選手の2人によくボールが入っていました。そこからフィニッシュまでの構成が、きちっと見えましたよね。じゃあ、そのピヴォを抑えればいいかというと、ほかの選手も機動力を生かして背後を取ってきました。同点ゴールが、まさに安井嶺芽選手が裏を取って一発で仕留めた形でしたね。2点目がコーナーキックのセットプレーで、あの瞬間だけニアで守っていた選手が膝を折って守ってしまったんですよね。あそこはもったいなかったですね。ただ、終盤に突き放せたところでは、しっかりとカウンター時に走りきる走力が最後に差を分けたと感じます。

 

ピヴォへボールを入れたフィニッシュまでの構成に加え、走力もあった多摩大

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河合 連戦のなかでも、最後までどれだけ走れるかというところですね。

谷本 個人でいえば、桐蔭横浜大にもセットが組める4人の選手がいました。でも、結果的に終盤の失点のうちの1失点は、堤選手と菅原選手の2人が転んで、その間に3人に走られたところがあったので、体力的な要素の差は感じましたね。

河合 桐蔭横浜大は、準々決勝と準決勝の2試合で、先制しながらも一度は逆転されるというシーソーゲームになっていました。先制点を取った後、彼らは押し込んでいたのですが、リードをしているチームの失点の仕方として、一発のカウンターでやられたのはもったいなかったかなと感じるのですが、先制後の試合運びはどう感じましたか?

谷本 あの後、森谷航監督と話をした時に「どうだったの?」と聞いたら、相手に同点弾を浴びた際には、守備において前から取りにいくか、引いて守るかで、チームとしては「引いて守る」という意識付けをしていたそうです。それが、あのタイミングだけなぜか変な形で前に残ってしまったそうなんです。もう一つの見方としては、彼らはちょうどセット替えの際のところで、ちょっとフワッとしていたところがあったんです。それが3セットで回すのと、2セットで回すのでは、体力的なズレが出てきますよね。3セットで回す多摩大は、常にフレッシュに入れる。でも、2セットの桐蔭横浜は疲れた状態で、多摩大の元気な3セット目と対峙しなければならないというふうに。多摩大は3セットで回したことで、疲労の蓄積は最小限にとどめられたと思うんです。

河合 決勝まで3セットで戦い抜きましたからね。

谷本 その差はあったと思いますね。あとは、桐蔭横浜大の頼みの綱であるファーストセットのボールを前線に運ぶ糸口がカウンター以外になかったんですよね。

河合 そうですね。リードされてからは、かなり厳しかったですよね。多摩大は前からプレスをかけてくる。前に運べないから、高い位置でボールを回収しようとしても、ロングボールでプレスをかわされる。結果的に桐蔭横浜大はボールを外に出す機会が多く、主導権を握っていたのは多摩大でした。

谷本 桐蔭横浜大は決勝戦に上がるまでに非常に目立っていた菅原選手と堤選手の縦のホットラインがなくなってしまったことが致命的でしたね。そこは多摩大が抑えたからだと思いますが、それ以外のところでこじ開ける力がありませんでしたね。GKからのフィードも、かなりラインを割ってマイボールにできませんでした。

河合 個人的には東京都大会の決勝戦だった多摩大学と慶應義塾大学の試合ほどの熱戦がなかったのは、ちょっと残念でした。多摩大は最終的に、この大会、一度もタイムアウトを使っていないんですよね。それはもう余力を残していたのと同じことです。多摩大がそれだけ突出していたとも言えますが、彼らも昨年の大会は出られませんでした。やはり他地域と関東の力は少し離れているのかなと感じるので、できれば関東から出場するチームを増やしてほしいですし、来年は全チーム初日から、16チームでやってほしいですね。取材としては大変になるのですが(笑)。

 

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公開済み
Part1 理想的だった決勝のカード
Part2 完全ノックアウト方式の是非は
Part3 指導者の増加には何が必要か?
Part4 決勝戦の振り返り
Part5 大会ベスト5を選出

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