【対談】谷本俊介×河合拓 第15回大学選手権総括Part2 完全ノックアウト方式の是非は

【対談】谷本俊介×河合拓 第15回大学選手権総括Part2 完全ノックアウト方式の是非は

 8月23日から25日にかけて行われた第15回全日本大学フットサル大会は、多摩大学の初優勝という結果で終わった。令和初の大学フットサル大会を終えて、大会を視察した前立川・府中アスレティックFC監督の谷本俊介氏(現立川・府中TD)と大会を取材したFutsalXの河合拓が大会を振り返った。

河合 今回の大会は、12チームのトーナメント戦というレギュレーションで行われました。前回大会の結果から、関東と関西の4大学がシード扱いになったのですが、結果は2勝2敗でした。初戦に試合がないメリットがある一方で、大会の雰囲気になれていないというデメリットもあったと思います。敗れた関西の2チームは、初戦に勝利して勢いに乗った相手の強さを受け止めきれず、飲み込まれたかなという印象はありませんか?

谷本 間違いないですね。

河合 この大会のレギュレーションはどう感じますか? 個人的には16チームにして、シードはなくしてもいいかなと思うのですが。

谷本 3位決定戦や決勝戦のようなレベルの試合が、最初からできるのであれば、グループリーグを伴った大会でもいいと思います。でも、結果的に僕は今大会のレギュレーションで良かったと思います。それは3日間をかけて、1日目、2日目、3日目とフットサルの競技レベルに応じてふるいにかけられたと感じるからです。

河合 どういうことですか?

谷本 1日目は、サッカーチームというか、日常的にフットサルをやっていない、フットサルの技術と戦術がビギナーレベルのチームが敗退した。2日目はフットサル中級者が敗退して、3日目にはフットサル上級者だけが残ったと思います。ビギナーの人たちが初日で負けたからといって、今後、フットサルに力を入れていこうとなる可能性は低いと思うんです。

河合 そうですね。よほど今回の負けが悔しかったり、力の差を感じて「俺たちは何をやられたんだ?」というような疑問を持っていたら別でしょうが、彼らはサッカーをメインでやっているわけですからね。

金沢大学をはじめ、各「サッカー部」にはタレントがいたものの、本来とは異なる土俵で勝つことはできなかった

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谷本 これは一つの考え方ですが、フットサルを突き詰めようというマインドの人たちだけであれば、グループリーグをすることの意味があると思うんです。たとえば多摩大と3チームが予選のグループリーグで戦えるとすると、多摩大にとってみれば一発勝負でないことによって、たまたま敗退してしまう事の可能性も減ります。さらに決勝戦に向けて試合や大会の雰囲気に慣れやすいメリットもあるでしょう。またグループリーグで多摩大と対戦できる3チームにとっては、優勝チームとの差を肌で感じ、それを一つの指標として「また来年も頑張ろう」と考えることもできます。そうなれば、日本全体への普及、強化にもつながって行くと思います。そういう物差しを得られるということは、とても大切だと思うのですが、残念ながら習慣としてフットサルをやろうという気概がなければ、いくらフットサルの強いチームと試合をしても、ただの思い出で終わってしまうのかなと思います。

河合 「アイツら、やっぱり強かったな」と振り返るだけ、っていうことですね。

谷本 そうです。その意味では、僕は今回のノックアウト方式で良かったと思います。12チームでやるか、16チームでやるかは置いておいて、この方式でいいと思いますね。

河合 一発勝負は僕も賛成なのですが、初日に試合があるチームとないチームをつくることは違和感がありますね。もう一つの今大会のトピックは、関西勢の準々決勝敗退です。関西のレベルも関東に負けないくらい非常に高いものだと思いますが、地の利があるなかでも結果を出せませんでした。これで2大会連続、関西勢は決勝に進めていません。

 

大会前、優勝候補の一角に挙げられた神戸大は初戦となった準々決勝で北海道大に敗れた

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谷本 準々決勝の神戸大と北海道大の公式記録を見るとわかりますが、シュート数では神戸大が圧倒しています(※スコアは4-3で北海道大が勝利。シュート数は神戸大が38対18で上回る)。明らかに神戸大が上回っていたなかで、勝ちきれなかったのは、勢いとかそういうところがあるでしょう。あとは戦術的な要素でいうと、勝ったチームからすると、噛み合わせもよかったのかなと感じます。自分たちが狙っている守備を頑張って、カウンターを仕掛けるという戦い方がハマりやすい相手でした。

河合 神戸大も、大阪成蹊大も、攻撃的に出てくるチームでしたね。大阪成蹊大もシュート数では、30対17と東北大を上回りましたが、試合は2-2でPK戦の末に敗退でした。彼らに勝った東北大も、北海道大も、非常に魅力的に見えましたし、良い選手がいたと思います。ただ、その一方で、この2チームにしっかりとフットサルを教えられる指導者がいたら、どれだけ強くなれていたのかなという疑問も残りました。大学フットサルが次のステップに行くためには、こういう「タレントのある選手がいるけど、指導者がいないチーム」に、指導者がいないと勝てないことを示せないといけないと思うんです。特に大阪成蹊大は、監督自身も自虐的に「自分の責任」ということを話していましたが、Fリーグを経験したGK、高校日本一のメンバー、U-20日本代表選手と、選手はそろっていただけに、指導者がいたのに違いを示せなかったというのは残念ですね。

 

過去3大会、ベスト4進出を果たしていた開催地枠の大阪成蹊大も力を出し切れずに敗退した。

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Part1 理想的だった決勝のカード
Part2 完全ノックアウト方式の是非は
Part3 指導者の増加には何が必要か?
Part4 決勝戦の振り返り
Part5 大会ベスト5を選出

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