【日本代表】「ふざけんな」を胸に秘め、虎視眈々と有事に備えるFP皆本晃「もっとできる自信はある」

【日本代表】「ふざけんな」を胸に秘め、虎視眈々と有事に備えるFP皆本晃「もっとできる自信はある」

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 今回の日本代表には、3人のフィクソがいる。FPオリベイラ・アルトゥール、FP星龍太、そして、FP皆本晃だ。

 正確な国際Aマッチの出場歴が手元にないが、アルトゥールの国際Aマッチ出場歴は6である。星龍太は名古屋オーシャンズで毎年のようにAFCフットサルクラブ選手権も戦っているとはいえ、スペイン1部リーグでもプレーし、ミゲル・ロドリゴ前監督時代から日本代表の中心選手だった皆本は、国際試合の経験値では、他の2人を凌駕していることは間違いない。

 フィクソとゴレイロは、相手の攻撃に対して、どう対応するかが問われる。やられた経験があれば、あるほど、(すぐ忘れない限りは)引き出しは増える。その点でいえば、国際経験が豊富な皆本は長時間の出場時間を得るために、優位な立場にいるのだが、実際のところは3番手に甘んじている。

 スペイン・ポルトガル遠征では、流れのなかからゴールを決めて、攻撃面でも貢献した。振り返れば、2019年のパラグアイ戦(2-3)でも皆本はゴールを挙げている。

「もっと長く出場時間がほしいですし、もっとできるという自信はあるので、チャンスがほしいなというところもあります」

 ベテランになれば、丸くなり、「チームのために……」と割り切っていることを強調する選手が多いなか、まず本音で自己主張できるのは皆本の良さだろう。そして、言えるだけの結果を残してきた男がフィクソの3番手にいるというのは、何よりも日本フットサル界の成長の証かもしれない。

 オンライン取材の最後には、皆本流『世界トップレベルでのピヴォの倒し方講座』まで開講された。これを実戦で見せる日は、大会中に訪れるはず。その時のために、しっかりと予習をしておこう。不満を口にしながらも、しっかりと準備は怠らない皆本晃のように。

以下、オンライン取材でのFP皆本晃の一問一答

SAL リトアニアはいかがですか?

皆本 こういう感じのスタイルで、ざっくりなんですね(笑)。天気も涼しいですし、寒くはないので過ごしやすい天候です。ご飯も美味しい部類に入ると思うので、快適に過ごせています。

SAL 映像を見ていても、かなりコンディションも上がっている印象ですが。

皆本 おっしゃっていただいたように、コンディションはかなり良くなってきているので、準備はできているんじゃないかと個人的に思っています。

SAL 体だけでなく、気持ちの部分の「いよいよ始まるぞ」というのはどうですか?

皆本 想像していたよりは、いよいよW杯が近づいてきたという感覚はなく、だいぶ落ち着いて迎えられるW杯になるのかなと思っています。また、ここから日が少なくなるにつれて、また違った感触を得るかもしれないですが、今はそんなに「W杯だから」と、肩の力がめちゃくちゃ入っている感触は、思ったよりないですね。

SAL とにかく初戦が大事と、誰もが言いますが、初戦のアンゴラは、個人で戦ってくるチームだと思いますが、そういう相手に対して、守備のキーマンである皆本選手はどうやって防いでいこうと考えていますか? 相手のシュートのタイミングや仕掛け方は、トリッキーな印象がありますが?

皆本 われわれは、組織的に守備をしたり、「フットサルはこういうふうにして守る」という、原理原則をミゲル(・ロドリゴ監督)時代からたくさん教えてきてもらってきています。それによって、強豪国と戦っても、決して驚かない、何をやられてもビックリしない組織は整っていると思っています。そういうチームとして成長させてもらいました。

 ただ、アフリカの国であるアンゴラとの試合は、自分たちが予期していない展開になることは目に見えています。なので、やりやすい相手ではないことは間違いありません。準備としては、「何があってもおかしくない」という意識を常に持ちながらやることが、大事だと思っています。「ここは縦を切ればいいでしょ」、「ここは絶対に、中に来るでしょ」みたいな思い込みで、逆を突かれてしまうことは、すごく想像できます。何が起きても慌てない心の持ちようが一番大事かなと思っています。

SAL できるだけニュートラルな状態でいた方がいいということですね。

皆本 そうですね。もちろん、自分たちが狙い通りの形で相手を抑える展開も、ゲームの中で半分以上はあるんじゃないかと思っています。ですが、一番危険なところは、予期していないプレー、カウンターひとつとっても、相手が残っていたり「そこにいるの?」というシーンが、ハイライトを見てもかなり多い。能力的なものは実際に対峙してみないと分からないですけども、相手自身も、自分たちがどうしたいか、分かっていない部分もあると思うんです。なので、そこに対して、こちらも先読みすることはかなり難しいと思っています。

SAL アルゼンチン戦で、素晴らしいプレス回避からゴールを決めていました。3つ目のセットで、もう少し出場時間が長くてもいいのかなと思っているのですが、今の立ち位置をどう捉えていますか?

皆本 もちろん、もっと長く出場時間がほしいですし、もっとできるという自信はあるので、チャンスがほしいなというところもあります。でも、そこは役割でもあるので。納得できない部分もありますが、しっかり自分の役割を理解しながらやっているつもりでいます。サードセットに関しては、なかなか出場時間は短いですけど、そのなかでできる役割に、ゴールというのはあります。僕が出た時間帯でもゴールは決められましたし、それ以外の時間帯でもわりかしチャンスは作れていると思うので、ゲームの流れを変えることが、役割の一つだと思っています。

SAL 大会が進むにつれて、フィクソのアルトゥール選手や星龍太選手に累積警告も溜まっていく可能性があると思います。ラウンド16あたりで、活躍してほしいなと思うのですが、皆本選手はどう思っていますか?

皆本 そうですね。カード(の累積)もそうですし、ケガもあると思うので、W杯というのは、負けてしまえば短いかもしれませんが、勝ち上がればスケジュールが短いなかで試合が続いていくので、まさにおっしゃる通り、不測の事態はたくさん起きると思います。それはゲーム中も同じで、思ったようにうまくいかないこともあると思います。そういうときに力になりたいし、それができるように準備は常にしておかなければいけないと思っています。それはある意味、年を食っている選手の仕事かと思うので。若い選手であれば、試合に出られなかったら「ふざんけな」とか、僕は今でも思っていますけど、それだけの感情で済ませるわけにはいかないので。何かあった時に、必ず良いプレーができるように、期待してもらっている以上のプレーができるような準備を、虎視眈々としています。

フリーランス河治 もし累積やケガがあった際、今の強化方法はセット分けをしっかりしていますが、ファーストセットやセカンドセットで出場する時に連係面を、どう合わせるイメージがありますか?

皆本 合わせられる部分もありますけど、合わせられない部分もあると思うので、そのセットのそのままを生かすというよりも、(ほかの選手とは)キャラクターが違うと思うので、自分の強みを出すなかでセットを良くしていきたい。フィクソは3人いますが、全員キャラクターが違うので同じことはできません。僕自身も、あの2人と同じことはできないですし、あの2人も僕と同じことはできない。そういう意味で、ある意味、違いを作れればいいのかなと、割り切って思っています。

フリーランス河治 技術だけでなく、相手によって身体能力やサイズも違ってくると思いますが、そういう選手たちに個人としてどう対応していきたい?

皆本 自分自身は、もしかしたら小さいと思われているかもしれませんし、実際にサイズは小さいのですが、大きいピヴォに対して苦手だとは思っていません。むしろ相手の大きいピヴォに対しては、小さい選手の方が下に入れることがあります。これまで国際試合を何度も経験してきていますけど、自分としては大きいピヴォの方が、相性はいいのかなと思っています。だから、特別やることを変えるつもりはありません。そこに対しては自信を持っているつもりなので、自分もできることをしっかり見せたいです。

フリーランス河治 そこで奪い切るのか、止めるのか、GKと協力して止めるのか。試合の中ではどう使い分けていきたい?

皆本 守り方のところだけでいうと、自分は大きい選手に比べてスピードがあると思っています。まず、ピヴォを抑えるために必要なことは、ボールが入ったら止めるというところもありますが、大前提としてボールを入れさせないことが優先順位の高いところにあります。プラスアルファとして、僕の守り方でいうと、後ろの選手が「ピヴォへボールを出せないな」と思わせることが、一番の勝負だと思っています。(ピヴォへ)パスを出したい時に僕が前に入っていれば、後ろの選手もパスを出せなくなります。そうすればピヴォ当て自体が存在しなくなり、相手の横パスが増えてくる。そうすると、うちのディフェンスの長所である前からのプレスが生きてくると思うので、まずはボールを入れさせない。優先順位として、「ピヴォにパスをさせない」、その次は「前でボールをカットする」。その2つができれば、ゲームというのは変わってくると思います。

 ボールが(ピヴォに)入ってからは、不利になる部分もあると思うんですけど、ボールが入ってからは「やらせない守備」に変更する。ボールが入ってしまえば、世界のトップレベルのピヴォであれば、ブラジル対スペインの試合を見てもらってもわかると思いますけど、スペインのフィクソがブラジル代表のピヴォに対して、ボールを奪うことはほぼありません。トップクラスのピヴォからは、ボールが取れないという前提にみんな立っていると思うので、そこに入ってから奪う感覚はほぼないと思うので、そこは同じように対応したい。相手にやらせない、その次はバックパスをさせる。あとは反転した時はしっかり体をぶつけてシュートを止める。そこに関しては、長年やってきているので、戦い方の整理はできているので、そこに関しては特に自分自身は心配していません。

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