【日本代表】脱バランサーをテーマに掲げるFP西谷良介「自分が脅威になることで、攻撃の厚みや幅が出てくる」

【日本代表】脱バランサーをテーマに掲げるFP西谷良介「自分が脅威になることで、攻撃の厚みや幅が出てくる」

20210911041746.jpg

 ともにプレーした選手が、こぞって絶賛する。FP西谷良介とは、そんな選手だ。

 なぜ、絶賛されるのか。それは西谷が一緒にプレーするチームメートたちが、プレーしやすい動きをするからだ。ほしいところにボールを出す。危ない場面でカバーに入る。技術が高く、戦術眼を持ち合わせ、戦う意思、走力も兼ね備える。

「周囲を生かせる」「バランスを取れる」。西谷の持ち味は、そのように語られる。

 だが、稀代のバランサーはW杯で勝つためには、サプライズが必要だと説く。

 それは、日本が誇るファーストセットに対しても。

「ファーストセットは、攻守ともに相手に脅威を与え続けられるセットであり、一人ひとりの特徴が発揮できています。僕たちが試合に入る前に、すごく良い流れを作ってもらっています」

 そう前置きしたうえで、「ただ、そのセットは(相手から)研究をされているでしょうし、そこのスカウティングは相手にも入っていると思います。自分たちのセットが大事になるかなと自覚しています」と、続けた。

 さらに、W杯で個人として見てほしいプレーについても、「よく(特徴は)バランスを取ったりするプレーと言われますが、自分が脅威になるプレーをどんどん増やしたいですし、そこを見てほしいと思っています」と、意外な言葉を続けた。

 周囲を生かし続けてきた男が、世界最高峰の舞台を前に、かつてないほど貪欲な姿勢を見せている。日本が「え、西谷って、こんなプレーをするの⁉」と、良い意味で驚くプレーが出れば、その時、日本は勝利に近づいているはずだ。

以下、オンライン取材での一問一答

SAL リトアニアの空気感や雰囲気はどうですか?

西谷 スペインから移動してきて、リトアニアは肌寒いと聞いていたので体調管理の部分で気をつけないといけないなと思っていましたが、それほどむちゃくちゃ寒いというわけではありません。スペインから、ここからまでは良い感じで来ていて、ポジティブな感情を持っています。というのも、欧州に来てから1回も雨が降ってないんですよね。朝、起きたら開放的で、良い天気で、良い生活リズムを送れています。スペインでも、リトアニアでも、良いサイクルを過ごせていると思います。

SAL 気持ちも充実してきているところで、いよいよ試合(アンゴラ戦)も4日後にやってきます。気持ちの高まりはいかがですか?

西谷 徐々に高まり出していると感じます。試合勘については、スペイン・ポルトガル遠征で6試合をこなして、十分に経験を得られていると思いますし、すごくワクワクしています。

SAL 海外の相手との試合が久しぶりだったなかで、西谷選手は感触やパフォーマンスを取り戻せている?

西谷 そうですね。最初のほうは、全然、間合いやスピードが違って、インパクトはありましたが、慣れてきました。国によって全然違うので、事前にできた試合でポジティブなものが得られましたし、フィット感は自分の中でも出てきています。

SAL キャリアのなかで集大成になると思いますが、ようやくたどり着いた世界の舞台でどんなプレーを個人的に見せたい?

西谷 やっぱり世界大会という位置づけの大会は、自分も初めてです。それでもアジアやいろいろな国で試合をしてきたなかで、最初の頃は、あっという間に試合が過ぎていき、思い返しても、「自分は何をしていたんだ?」という感覚でした。そういった経験を踏まえると、今は地に足をつけてプレーができているなと感じます。やっとそういう場所に立てたんだなと実感しています。以前にも言いましたが、自分が脅威になることによって、日本の攻撃の厚みや幅が出てくると思っています。よく(特徴は)バランスを取ったりするプレーと言われますが、自分が脅威になるプレーをどんどん増やしたいですし、そこを見てほしいと思っています。

SAL 親善試合はセカンドセットで出ていたと思います。ファーストセットは強力で、完成度が高いと思いますが、そこと比べてセカンドセットの長所や役割は?

西谷 自分たちはセカンドセットで入ることが多いですが、ファーストセットは、攻守ともに相手に脅威を与え続けられるセットであり、一人ひとりの特徴が発揮できています。僕たちが試合に入る前に、すごく良い流れを作ってもらっています。ただ、そのセットは(相手から)研究をされているでしょうし、そこのスカウティングは相手にも入っていると思います。自分たちのセットが大事になるかなと自覚しています。

 自分たちは、最初に来た当初より、セット間でコミュニケーションが増えていますし、自陣でプレーするより、相手陣内でプレーすることが増えています。そこはポジティブに捉えていますし、徐々に前に進んでいる感触もあります。自分たちのセットが試合を動かせるようになれば、日本代表の攻守の厚みは増すと思います。だからこそ残り4日で、そこの積み重ね、細かいディテールにこだわりたいです。試合はうまくなるところではなく、勝つところなので、そこを間違えずに練習ではどんどんチャレンジして、厚みを増していければなと思います。

SAL そうすると親善試合で、定位置攻撃から2点、3点とって本番を迎えたかったですね。

西谷 そうですね。でも、ちょっとずつ、ちょっとずつ自分たちが前進している感触はあります。今から特別なことをして、何かを変えるより、積み重ねてきた部分を信じて、攻撃ではしっかりフィニッシュで終える。フィニッシュで攻撃を終えれば、セットプレーにつながるなどのメリットがあるので、そういう部分を進んでいる実感を得ながら、しっかり前へ進んでいきたいと思います。

中日新聞 事前の試合で、掴めてきているなと感じている部分は?

西谷 以前に比べて、落ち着いてプレーができている感触もあります。セット間で自分がバランスをとることは必須だと思っていますし、自分がそうすることで他の選手が生きると思っています。なので普段やっているプレーと特別に変えることはありません。自分の役割を全うしながら、より前進できるプレー、ゴールを目指すプレーは、試合を重ねるごとに自分のなかでも出てきているなと感じています。まずは、そこの完成度を突き詰めていきたいです。また、自分たちが前進して相手陣地でプレーする回数が増えた時、ドリブラーに任せるだけではなく、自分がチャレンジしたパスやリスクを冒すプレーをもう少し出していかないといけないし、出していけるなという感触があります。なので、そうしたところで脅威になれればと思います。

フリーランス河治 ドリブラーに任せずにゴール前に迫力を与えるプレーの基準で、ゴール前に出ていくタイミングのビジョンはどう描いていますか?

西谷 たとえばパスを出して、「さぁ1対1を仕掛けますよ」という時に、自分たちが見る側になるのではなく、自分のアクションによって、ドリブラーがドリブルしやすくなったり、オプションとして、そういうプレーをドリブラーに与えることで、攻撃の幅と深さが出ると思っています。また、ドリブラーのドリブルだけではなくて、前進するパスの瞬間に、自分が3人目の動きを出すことによって、厚みっていう部分でゴールに直結するプレーが必然的に増えてくると思っています。そういったところで、オプションの一つになれることを意識してやっていきたいです。

フリーランス河治 メンバーとの組み合わせ、流れでもすごく変わることだと思いますが、自分のなかでのギアチェンジ、ゲームのなかでのリズム変化。空間だけでなく、時間のコントロールをどう考えていますか?

西谷 もちろん試合終盤にリスクを冒すかどうかは、自分たちの点差によって、プレースタイルも変わります。点を動かしたい、ここは勝負に行きたいということは必ずあるので、そこを見逃さないようにしたい。ドリブルできる選手に任せるだけでは、相手も慣れてくるので、自分がサプライズのようなプレーを出せれば良いかなと思っています。

フリーランス河治 今回のワールドカップは日頃フットサルを見ていない人も見る可能性が高いです。そういう人たちに見せたいのは?

西谷 昔から言っていますが、攻守ともにスピーディーな展開、最後の残り1秒まで点が動く、どちらに動くかわからないスポーツであることは、魅力があると思います。そういうところに注目してもらいたいですし、サッカーではGKがゴールするチャンスはあまりないですが、フットサルはコートが狭い分、誰でも点を取れる状況が常にあります。迫力あるプレーを期待して、魅力に感じて見てもらえれば、フットサルの魅力を伝えられると思います。

スポンサーブランド
サッカー・フットサルブランド アグリナ


Homepage Powered by スタジオコンチーゴ株式会社