【日本代表】勝率9割越えのモロッコに勝利した日本、ブルーノ監督「誇りを持ってもらえる試合を見せたい」

【日本代表】勝率9割越えのモロッコに勝利した日本、ブルーノ監督「誇りを持ってもらえる試合を見せたい」

 フットサル日本代表のブルーノ・ガルシア監督は、大風呂敷を広げるタイプの人物ではない。そんな人間が7日に行われたモロッコ代表戦を振り返り、「本当に完勝と言えるゲームで、非常にポジティブに捉えています」と話すのだから、日本代表のパフォーマンスは抜群に良かったのだろう。

 2016年と2020年のアフリカ選手権王者であるモロッコ代表との親善試合は、14日に行われるFIFAフットサルW杯リトアニア2021で、日本代表の初戦の相手となるアンゴラを想定して組まれた。しかも、アンゴラよりも格上の相手と言っていい。ブルーノ監督によると、モロッコは2020年から21年にかけて29試合を行い、27勝1分1敗という9割3分1厘という驚異的な勝率を誇っていたからだ。

 そんな相手との試合で、日本は前半を0-0で折り返したが、後半に入ってFP清水和也がセットプレーから1点を取ると、FPオリベイラ・アルトゥールが第2PKから追加点を記録。さらにアルトゥールの落としを受けた清水がダメ押しのゴールを決め、3-0と完封勝利を収めた。

 W杯までに予定されていた5つの親善試合を終えたブルーノ監督が、チームの仕上がり具合、そして、今回のW杯が日本フットサル界にもたらしてほしいことを語った。

 以下、ブルーノ・ガルシア監督のコメント

JFA 監督よりW杯前最後の親善試合を終えて一言お願いします。

ブルーノ 昨日の試合も本当に完勝といえるゲームであり、非常にポジティブに捉えています。モロッコは2020年から2021年にかけて、29試合を戦っています。これは非常に多い数字なのですが、そこで27勝1分け1敗という成績をいる強敵でした。その特徴や強さをよく知りつつも、試合の全般で、守備面でも、攻撃面でも、トランジションでも、セットプレーでも、あらゆる局面で私たちがイニシアティブをとれる試合ができました。その中身、結果も含めて、非常にポジティブに捉えています。非常に良かった仕上げのゲームになりました。

SAL W杯前、最後の試合となりましたが、何か違うテーマを持っていたり、共有していたことはありましたか?

ブルーノ 試合ごとに対戦相手が異なれば、同じテーマや狙いを持ってならなくなるのは当然です。ゲームプランは異なってきます。その一方で、私たちは取り組んできたことの上積みをする。継続をした改善をしていくことは不変にありますが、ゲームプラン自体は変わります。そのなかで今回のゲームは特性、チームのプロファイルでは、グループリーグの初戦で対戦するアンゴラに似ているということが、スカウティングでありました。そのことを念頭に置いて、W杯の初戦を戦うイメージを持ちながら、ということはありました。

SAL ここまでの親善試合では3つのセットを均等に使ってきました。本番でも3つのセットを均等に使っていくのでしょうか? それとも、別のやり方を考えている?

ブルーノ ここまでのところは、ゲームを戦ううえでの選手起用は、いろいろな狙いや目的をもってきました。特に今の時期の準備、大会に向けた準備の時期と本番では、狙いや考えなければいけないことは変わります。

 この準備段階では、選手にゲームリズムをつかんでもらう必要性があります。ゲームフィットネスの側面、またポジションバランスで、それぞれのポジションに、それぞれの選手が満遍なく刺激を得て出場する感覚をつかむためにも、3セットの起用の仕方を意図的にやっていました。ただ、毎回の試合、対戦相手によって、あるいは狙わないといけないゲームの特徴や進行によって、その起用方法は変わっていきます。固定したルールを決めて、「このやり方をしましょう」と先に決めて、それに縛られる考え方はしていません。それについていえば、準備の試合では公式戦でも狙うべきことといえば、固定的なルールを置かないことをこれまでも同じようにやってきています。本番でも、特に3セットでやろうとか、こういう相手には2セットでというやり方ではなく、その時の必要性に応じた起用になっていくと思っています。

Fリーグ グループステージ突破に向けて、初戦のアンゴラ戦は注目されると思います。そこで、どんな日本を見せたいか、アピールポイントを教えてください。

ブルーノ 久しぶりに公式戦を戦う姿を見せられることは喜ばしく、私たちもワクワクしています。ゲームに関しては、先ほどのモロッコ戦でも実現できたゲームと同じように、あらゆる局面でイニシアティブをとる日本を見ていただきたいと思います。攻撃においては3-1、4-0システムという戦い方の方策を変えていくなかで、イニシアティブをとる。守備においてはプレッシング、あるいはボールを失ってから、すぐに切り替えて、奪って、そこからカウンター、トランジションを起こすとか。セットプレーで大いに相手を危険をさらすなど、全員が一体となりコレクティブにゲームを進める。そこでイニシアティブをとる色の強みを持っているのが我々です。ほかのチームには個人の選手が、タレントを光らせてというチームがあるかもしれませんが、我々はコレクティブに、あらゆる局面で主導権を握っていく。そういう取り組みをやってきているので、その部分を是非お見せして、皆さんにも誇りを感じてほしい。

中日新聞 W杯前の試合で良いゲーム内容に勝利の結果もついてきた。選手の心理に影響もあると思うがいかがでしょうか?

ブルーノ 勝利をすると、常にポジティブな心理作用があると思っています。その意味では、昨日はその例に漏れないところではあるのですが、それ以上に取り組みをここまで続けてきて、その中身がゲームで発揮できたこと。そして、それが右肩上がりに積み重なっていき、勝利に結びついた。しかも、その相手がなかなか普段、私たちがこれまで相手にしてきたチームの特徴と違うプロファイルを持ったチームでした。それが、そのポジティブさに拍車をかけています。ただ繰り返しますが、ここまでの取り組みの延長上に昨日のゲームがあるので、過去のゲームを含めて、ずっと進んできた積みげを確認できたという意味で、非常にポジティブにとらえています。

FutsalX ブルーノ監督が日本代表に伝えたかったメソッドというのは、この5年間でどれくらいチームに伝えることができたでしょうか?

ブルーノ この5年間、自分がどのようにフットサルを捉えているか、自分の考えていること、モデルをメソッドとして代表チームに注いできました。ただ、そこについては、今のチームの力の評価は、今するべきでも、できる段階でもないと思っています。まさに仕上げのW杯が始まるところですので、そういうものを経た後に、振り返りが評価のタイミングになると思っています。

 ただ、ある部分で非常に満足しているとすれば、ここまでどうやって辿り着いてきたかのプロセスです。振り返ると、日本がピッチで見せるスタイルだけではなく、代表チームをどう構成していくか、そのモデル。たとえば、ラージリストを作り、そこからフィルタリングをかけて、世代バランスをもって、ポジション別に中核、バックアップの層を作る。とても短期では、成立させることができないフットサルの強化の構造を現出させることができました。その構造を作ったのは、日本サッカー協会の仲間のスタッフと共同しながら取り組んできましたが、それに対して自分も関わりながら、今の状況を作ることができたことに満足していますし、誇らしく思います。この仕組みは、これまで他国の代表の仕事もしてきましたし、他国のリーグも見てきました。そのなかでも、世界の強豪に迫る構造になってきていると思っています。

 ですから、今のチームのピッチで見せるパフォーマンスよりも、ここまでの取り組み、ここに至るまでの取り組みがもたらした、より広い目線での構造のつくり込みができてきたことに、非常に誇らしい感覚を持っています。

FutsalX 今回のW杯は、そうした構造ができた日本のフットサル界にも、新たな刺激をもたらしてくれる場になると思います。結果が出る前で想像することは難しいかもしれませんが、日本のフットサル界に、どんな刺激を与えてくれることを期待していますか。

ブルーノ AFCフットサル選手も公式大会ではありますが、W杯というのは、私たちのスポーツにとって常に最終目標となる大きな大会です。この大会の成果、経験したことは、その国の歴史を変える力があると思っています。過去にこのW杯を優勝した国は、ブラジル、スペイン、アルゼンチンの3カ国のみですが、必ずしも優勝ということだけではなく、そのなかで、どんな取り組みができたのか。今、言われた刺激、経験を受けたことで、その国々に、それぞれのレベルで歴史が変わることがあります。

 必ずしもW杯でなくても、たとえばペルーでも中米カップという大会に出て、そこで優勝ができたわけではなくても、あるプロジェクトに力を掛けてチャレンジしたところ、その跳ね返りから歴史が変わるきっかけになることが起きました。また、ベトナムでもW杯に初出場した時に、まさにそうでした。私たちは『主役たるパフォーマンスを、このW杯で見せる』ということを目標に掲げ、勝ち進むことを狙っています。言われた通り、結果を見ないといけないところはありますが、それを狙って、それができれば、それをフックに、当然どのような成績をもっても、引き続き、改善、向上しないといけないことはあります。ただ、そういうものに対して、『W杯でこういうことがあったから、次はこうしたい』というきっかけになり、それが大きな声になり、メガホンのような役割を果たして、推し進めていく力になる。そんな刺激をこのW杯で受けられるのではないかと思っていますし、受けることを期待しています。

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