【日本代表】初のW杯を目前に悩めるドリブラーFP室田祐希「バランスが難しい」

【日本代表】初のW杯を目前に悩めるドリブラーFP室田祐希「バランスが難しい」

 アルゼンチン戦の後半16分のことだった。そのドリブルを初めて見たであろう、現地の解説者は思わずうなった。

「ファンタスティコ! ケ・ビエン、ケ・ビエン(ファンタスティックだ! 良い、とても良い)」

 自陣の右サイドでFP皆本晃がつないだボールを受けたFP室田祐希は、ドリブルをしながら態勢を立て直す。背後から迫ってくる一人目のDFのプレスをいなしながら、加速する。カバーに来た2人目のDFとの間合いをはかりながら、その股間を抜き、一人目と二人目のDFの間をすり抜ける。さらにカバーに来た3人目のDFが寄せきる前に、右足を振り切ってシュートを放った。

 ゴールにこそならなかったものの、セットプレーと並んでブルーノ・ジャパンが武器としているカウンターを仕掛けられた数少ないシーンであり、ドリブラーである室田の良さが前面に出た場面だった。

 問題は、こうしたシーンが少ないのだ。

 ブルーノ・ガルシア監督のフットサルは動きの量と質が全員に要求される。それゆえに3セットに近い形で戦うことにもなっているが、もともとが攻撃的な選手にとっては、決して簡単ではない。そのため、室田、FP加藤未渚実は、なかなかW杯でベスト4以上を現実的な目標にするような相手に対しては、それ以外の相手と同じようなパフォーマンスが出せなかったりしてきた。

 だからこそ、このアルゼンチン戦で見られた室田のプレーには、大きな期待が持てた。

 もう一つ上のレベルの相手にも、室田が自分の良さを出し切れる感触をつかめていたら、これは日本にとって大きな武器になるからだ。

 だが、スペイン戦後に取材に応じた室田自身は、まだ自分を出し切る術をつかめたわけではなかった。必要なのは、自信と周囲の理解だろう。

 本大会の開幕まで、残りわずか。いや、大会が開幕してからでもいい。

 世界トップに通用する切れ味鋭い武器を持てるかどうかは、W杯で主役となることを目指す日本の目標達成に大きく左右してくる。

 以下、オンライン取材でのFP室田祐希のコメント

Fリーグ 代表発表から1週間が経ちましたが、W杯メンバーに選ばれた感想とファンへのメッセージをお願いします。

室田 ずっと目標にしていたW杯なので、まずはメンバーに選ばれたことは非常にうれしく思います。ファン・サポーターは、なかなか会場に足を運べないと思いますが、日本から応援していただけたら嬉しいです。僕たちも応援が力になるので、よろしくお願いします。

FutsalX 2019年のスペイン遠征でもスペインと対戦したと思います。当時はすごく衝撃を受けていましたが、あらためてスペインと対戦した感想を聞かせてください。

室田 今の僕たちは、すごいプレスが本当に非常に良くなっています。それがすべての時間でもプレスをかけられたかというと、昨日も回避された時間はあったのですが、前回よりはデイフェンスの強度として良かったかなと思います。

FutsalX ブルーノ監督は、やれたという感想を持てたことも、ポジティブな要素になると話していました。チームメートたちとも、そういう話はしましたか?

室田 試合が夜、遅かったこともあったので、そんなに詳しくは話をしていません。ぼく個人的にも、ブルーノ監督がおっしゃった通りだと思うので、あとは決定力のところかなと思います。

FutsalX 守備に意識を持っていかれると、攻撃で本来の持ち味を出しにくいことがあると思います。アルゼンチン戦ではシュートまで行ける場面をつくっていたと思いますが、自分の持ち味を出す、力の配分みたいなものはどんな感触がありますか?

室田 ディフェンスに力を入れると、僕は本当にバランスを取れなくて、攻撃に入る前に疲れたりしてしまうので、今そこが課題かなと思っています。アルゼンチン戦のようなドリブルは1回ではなくて、何回もつくってチャンスメークをしていきたいと思います。そこのバランスが難しいですね。でも、ディフェンスの強度は落とせないですし、難しいところです。

FutsalX 出場時間が短い時、あるいは劣勢で出てきた時、「これは室田、何かやってくれるぞ」と思っていてもいいですか?

室田 そうですね。でも、まずはプレスを第一にしないといけません。みんな強度を落とさないことがコンセプトにあるので、そこをやりつつ僕も自分のプレーを出していければいいなと思います。

SAL セットについて聞きたいのですが、スペイン戦前までは星翔太選手、西谷良介選手、星龍太選手と出る機会が多かったと思うのですが、セットも固定してなじんできたのかなと思うのですがどうですか?

室田 僕がまだ他の選手たち、龍太さん、翔太くん、パッシャンに比べて、まだ全然動きが3人に合わせきれていないので、まだ足を引っ張っているじゃないですが、動きが僕だけ混乱している風に、個人的にもそうなってしまっているので。徐々に、まだ時間があるので、徐々に合わせていきたいなと思います。

SAL このセットでは左アラ。ほかのセットで逸見選手、八木選手と同じ役割になるかと思いますが、ドリブルで仕掛ける部分に関して、初戦のアンゴラ戦での自分の役割はどのように感じていますか?

室田 まずはプレスをかけること。プレッシャーをかけられるのは、自分の良さでもあると思うので。そこを第一に考えます。あとは、チャンスメーク。ドリブルの回数をもう少し増やせたらなと思います。

北海道新聞 強化試合を通して得ていること、通用していると感じられているプレーは?

室田 久しぶりの親善試合だったので、1試合目のポルトガル戦は緊張もあり良いプレーはできませんでしたが、徐々に慣れてきました。後は自分の持ち味をもう少し出せていければいいかなと思っています。

北海道新聞 初めてのW杯で成し遂げたいこと。チームに貢献したいことは?

室田 結果がすべてだと思うので、チームの結果に貢献できるように、自分の良さを出していければなと思います。

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