第6回JFA U-18フットサル選手権が、8月1日(木)に開幕を迎える。今大会は、ユース年代のフットサルに新しい時代が訪れるのではないかと目されている。
どういうことか。今大会の過去の優勝チームを見てみよう。
回 |
年 |
優勝 |
準優勝 |
3位 |
1 |
2014 |
聖和学園FC |
名古屋オーシャンズU-18 |
藤井学園寒川高等学校サッカー部 |
2 |
2015 |
岡山県作陽高等学校 |
北海道釧路北陽高等学校 |
PSTCロンドリーナU-18 |
3 |
2016 |
帝京長岡高等学校 |
フットボウズ・フットサル U-18 |
香川県立高松商業高等学校 |
4 |
2017 |
矢板中央高等学校 |
新潟県立長岡向陵高等学校 |
フウガドールすみだファルコンズ |
5 |
2018 |
帝京長岡高等学校 |
フウガドールすみだファルコンズ |
聖和学園サッカー部FC |
2014年の第1回大会でFP北野聖夜(現F2横浜)を擁する名古屋オーシャンズU-18が準優勝したのを皮切りに、フットサルの専門チームが優勝したことはない。過去、最も多くのタレントが出現した第2回大会では、FP植松晃都(現F1湘南)を擁するPSTCロンドリーナが3位に、第3回大会ではFP村上拓也(現すみだバッファローズ)やFP岡部直樹(現立川・府中サテライト)、FP南雲颯太(現多摩大)らを擁したフットボウズ・フットサルが準優勝となっている。
第4回大会では、U-20フットサル日本代表のキャプテンとなったFP畠山勇気を擁したフウガドールすみだファルコンズが3位に。続く第5回大会でもフウガドールすみだファルコンズは決勝トーナメントに進出したが、惜しくも準優勝に終わっている。
フットサルの専門チームが勝てない要因はいくつか考えられる。まず挙げられるのは、選手層だ。高校の名門サッカー部には、1学年に付き50人以上の選手が集まることが多い。だが、フットサルの専門チームは10人程度のところがほとんどだ。4日間の短期決戦で争われる今大会では、中心選手が出ているセットが強くても、セットが変わった途端にレベルが落ちてしまうフットサルの専門チームが多かった。さらに連戦となれば、主力に疲労が溜まり、ベストのパフォーマンスを発揮できないこともある。
また、フットサルの専門チームには、「絶対に負けられない」というプレッシャーがかかる。ほとんどの高校サッカー部のチームは、この大会が終わってからもサッカーの高校サッカー選手権が控えている。そうしたチームは怖いものなしで今大会に臨むことができ、勢いをそのまま出すことができるだろう。
典型的な例が、第1回大会の決勝だ。予選で聖和学園に7-1と大勝していた名古屋U-18は、決勝戦で「負けるはずがない」(北野聖夜)という気持ちで臨んでいた。ところが決勝では2-3で敗れてしまう。1次ラウンドの対戦で、聖和学園が名古屋U-18のフットサルを体感して慣れたこともあるが、同時に名古屋U-18が「勝たなければいけない」というプレッシャーの元、本来の力を出し切れなかったことも挙げられる。
こうしたことも重なり、これまでフットサルの専門チームは、タイトルを獲得することができていなかった。(※第2回を優勝している作陽高校はフットサル専門チームに近いが、その取り組みはまた別項で)
今大会は、その歴史が変わる可能性が非常に高くなっている。
第4回大会で3位、第5回大会で準優勝となったフウガドールすみだファルコンズをはじめ、ペスカドーラ町田U-18、S.B.F.C.ロンドリーナという3つのFリーグ下部組織クラブが、関東予選を勝ち抜いて、本大会の出場権をつかんだ。また、関西からもシュライカー大阪U-18が、FP計盛良太(現・F1大阪)を擁した第3回大会以来の出場を果たしている。
Fリーグの下部組織チームが一つの大会に4チームも出場することは、これまでになかった。クラブにしっかりとフットサルを教えられる指導者がいることに加え、Fリーグの舞台を目指す有力な子供がFリーグ下部組織チームに入団する機会が増えたためだ。
また、第1回大会から5大会連続出場を続け、過去最多2度の優勝を誇った前回王者の帝京長岡高等学校が、北信越大会で敗退したことも、フットサル専門チームの初優勝を後押しする要因になるだろう。
とはいえ、今大会にも札幌大谷高校(北海道2)、京都府立久御山高校(関西1/京都)、日南学園(九州1/宮崎)、長崎総合科学大学付属高校(九州2/長崎)といった強豪サッカー部が名を連ねている。第4回大会で6試合19得点を挙げた矢板中央高FP大塚尋斗(現法政大サッカー部)のような圧倒的な個の力を持つタレントが現れる可能性も十分だ。
フットサルを専門にプレーしているFリーグ下部組織4クラブ、聖和学園高校フットサル部(東北/宮城県)、サントスFC/サンチスタ(東海/愛知)が新たな時代の幕を開けるか。それともサッカー部のチームが、今大会でもポテンシャルの違いを証明するのか。「フットサルvsサッカー」という視点でも、大いに楽しめる大会だ。