【日本代表】欧州遠征を総括するブルーノ監督「相手の多彩な攻撃オプションにも、総合的に守備で対抗できている」

【日本代表】欧州遠征を総括するブルーノ監督「相手の多彩な攻撃オプションにも、総合的に守備で対抗できている」

 スペイン・ポルトガル遠征で、フットサル日本代表は5つの親善試合を行い、1勝1分け3敗という結果だった。敗れた3カ国は、ポルトガル、アルゼンチン、スペインという9月12日に開幕するFIFAフットサルW杯でも、上位進出が見込まれる強豪国だ。

 一方、残り10秒を切るところまでリードしていたベネズエラに2-2で引き分け、唯一の勝利したベトナム戦(1-0)でのゴールは、清水和也が決めた第2PKのみ。

 負けた試合にも良いところがあり、勝ち点を得られる結果を得た試合にも課題が残ったのだ。

 W杯という大会は、一発勝負で負ければ終わりだ。失点をしなければ、負けない。そのため、まずは守備をいかに整備するかを考えるチームは多く、日本もその例外ではない。今回の連戦では、強豪国と対戦することができ、日本の守備力をチェックすることができた。特に2019年年末の試合で大敗をしていたスペイン戦は、チームのW杯への進歩を確認する最善の舞台だった。

 スペインに0-2と敗れた翌日、オンライン会見でブルーノ・ガルシア監督が感想を語っている。

以下、オンライン取材でのコメント

JFA この1週間の活動を振り返ってください?

ブルーノ 1年半以上ぶりとなる久しぶりの日本代表の試合でしたが、まずは試合ができたことが素晴らしかったと感じています。また、長い期間にわたってフルメンバーがそろって活動することができない状況がありました。久しぶりに全員で会って強化ができたことはポジティブです。必ずしも結果が伴う一連のゲームではありませんでしたが、対戦相手を見れば、現在の世界王者であるアルゼンチン、欧州王者のポルトガル、過去2回世界を制している強豪のスペイン、それ以外にもベトナムとベネズエラは、近年、力をつけてきている新興勢力です。いろいろなスタイルを体験できたことも素晴らしい準備になっています。ゲームの中身についても、確実な成長を感じ取れました。非常にポジティブな期間を過ごせています。結果が伴っていませんが、その要因は明らかにあります。それは新しいことではなく、これから取り組む、これからの2週間で磨きこむべき部分なので、緩めずにこの準備を目標であるW杯に最善の状態で入れるように、準備を継続すべきだと思っています。

Fリーグ 結果は伴っていないながらもポジティブなゲームができているとは思いますが、監督の言葉を借りると、「移行期」から「実現期」に入っていきます。「移行期」の達成度と「実現期」への展望を教えてください。

ブルーノ 現在は日本におけるフェイズで積み上げてきたもの、蓄積してきたものを、試合に向かって移行をはかっていく時期です。この「移行期」はリトアニアに入ってからも、本番のW杯まで、あと2週間、実現期は残っています。リトアニアに入ってやらないといけないこと、これはどこのチームも取り組まないといけないことだと思いますが、詳細の部分の洗練です。たとえば、チャンスはつくれているが、ゴールマウスにボールを沈めることができないとか。そうした側面を、あらためて浮き彫りにしたところで、最後の磨き上げをしていく。特別なことではないのですが、長く試合をしてこなかった時間があるため、磨きあげができなかった、働きかけができなかった部分を、残り2週間で100%の状態に仕上げて実現期に向かうことを考えています。

SAL ここまでの試合を見てきたなかで、セットのメンバーが固まってきているように見えます。海外にいて合流できなかった逸見勝利ラファエル選手、新たに加わったアルトゥール選手や毛利元亮選手がいるなかで、チームの成熟度はいかがでしょうか?

ブルーノ 3人とも非常に早い適応をしていて、チームの力になって、さっそく躍動してくれているなと感じています。逸見選手にかんしては代表に来てから長いのですが、海外クラブに所属していることもあり、清水和也選手と同様に1年半ぶりの合流なりました。その意味では、再適応に急ピッチを要する状況です。それは毛利選手、アルトゥール選手も同じで、非常に早いピッチで、なるべく早く適応して成熟していくことが求められます。そのことに関しては、それぞれにプロファイルは違う、アラ、ピヴォ、フィクソとポジションの違う選手ですが、その部分を加味しても、仲間のサポート、テクニカルスタッフの手厚いサポートもあり、非常に順応が早くなっています。今の状態としては、非常に良い適応ができていると評価していますので、とても満足しています。

フジテレビ アンゴラについて教えてください。日本が初戦で対戦するアンゴラは、日本が2-3で敗れたポルトガルと対戦して3-4でした。スカウティングされていると思いますが、どんな相手で、日本が勝つためのポイントはどのあたりになるでしょうか。戦術的に差支えのない範囲で教えてください。

ブルーノ アンゴラは、非常にたくましさを持ったチームだと評価しています。彼らはベネズエラには5-2で勝ち、ウズベキスタンともすごい試合をしたという直近の情報もあります。プロファイルとしては、トランジションが早く、カウンターが早く、1対1の質が非常に高い選手がそろっています。それに対抗するためには、ポゼッションを高めるなかでも、しっかりボールを持って動かす。それによって相手の得意なカウンターの隙を与えない。もう一つは、相手の武器である1対1のクオリティに依存した攻撃に対抗するために、しっかりした個のディフェンス、そしてコレクティブなディフェンスを注意深く、網を張って行う。そういうことで組していけたのではないかと思います。

FutsalX 清水和也選手は2019年末のスペインとの試合にも負傷で出場しませんでした。普段、スペインでプレーしているとはいえ、代表を相手にどういうパフォーマンスを見せられるか見たかったのですが、昨日の試合でメンバー外になったのは、どういう判断だったのか教えてください。

ブルーノ 清水選手の欠場に関しては、メディカルの判断で「出場をやめたほうがいい」ということで、ストップしました。これがW杯の重要なゲームであれば、リスクを背負いながらなんとか出場してもらってということもあったが、今の段階ではそうではないという判断もあり、欠場となっています。2日前のトレーニング中に足首にダメージを負った。そのことを気にしてそういう状況になりました。2019年の時も全く同じで、彼はエルポソBに所属していたのですが、代表が集合して試合をやる前の最後の試合で負傷をして欠場しました。私たちとしては、戦術・技術的な戦略性をもった欠場ではないのですが、間接的には秘密兵器として温存できたといえるかもしれません。

FutsalX 守備については、前回の対戦ではソラーノ選手の個にやられました。アルトゥール選手、星龍太選手が入り、フィクソが踏ん張れていたと思います。またGK2人も素晴らしかったと思いますが、守備の全体の評価を聞かせてください。

ブルーノ 非常に良かった。非常に、非常に……非常にを何回も重ねたくなるくらい素晴らしいディフェンスができたと思います。失点はコーナーキックと第2PKから生まれたものでした。それ以外の時間は、ディフェンスを機能させて攻撃を封じました。大変な前進を示していると思います。スペインは攻撃が強く、いま、ソラーノ選手の名前が出ましたが、彼以外にも、ラウル・ゴメス、ラウル・カンポス、アドルフォといったモビリティを使ってくるピヴォの選手がいます。それ以外にもアドリ、チノといった1対1に非常に強い選手たちもそろえています。彼らが繰り出す多彩な攻撃のオプションは、非常に対抗することが難しいのですが、その部分に関して、総合的に守備で対抗できていたのは素晴らしかったと思います。

 2019年の対抗は、フィクソだけの問題はないのですが、そこから学んで前進することができることを我々は示しました。そのことは心理的にも私たちを前進させてくれる、そういうゲームでした。何よりも相手からのリスペクトを試合中に感じることができたことは、心理面の作用として非常に大きく、守備面に関しては非常に良かったと振り返っています。特にGKの2人は、最後方からの守備を固めるところで、最後の砦としても2人とも機能してくれました。トータルで守備は素晴らしかったなと、振り返っています。

 もう少し具体的なところを付け加えさせていただくと、ピヴォに対する守備はフィクソの対抗が最も際立つ見え方をすると思います。守備はそこだけではなく、個別のポジションの選手が機能しただけではありません。特に昨日の試合ではアラのドリブラーに対しても、カバーリング、サポートが光ったから成立したところがあります。それ以外の場面でも、吉川選手が1試合を通じてアドリ選手を非常に良くマークして、ほとんど仕事をさせなかったことがありました。そういうチームのガイドラインにのっとったコレクティブな機能があって成立しました。最終的にGKを含めた守備、全体が非常に効果を表した、そういうゲームだったんじゃないかなと見ています。

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