【日本代表】W杯メンバー発表と親善試合3試合を終えてのブルーノ監督「必ず望むべきところに行ける」

【日本代表】W杯メンバー発表と親善試合3試合を終えてのブルーノ監督「必ず望むべきところに行ける」

 フットサル日本代表は25日にFIFAフットサルW杯リトアニア2021に臨む最終選手の16名を発表した。欧州遠征に参戦している16名が、そのままリトアニアの地を踏むこととなったが、ブルーノ・ガルシア監督は、当初FIFAが許可していた14名だった登録メンバーが、コロナ禍ということもあり16名になったことを喜び、「日本の場合は、W杯を目指して取り組んできましたが、9年ぶりの出場となります。前回大会の出場を逃している事実は無視できません。本来、私たちの力は、そういうものではないことをあらためて示し、W杯で主役級の活躍をすることが使命だと思っています。この(メンバー)リストをもってすれば、その目標を達成できるはずです」と、W杯での飛躍に自信を見せた。

以下、ブルーノ・ガルシア監督のオンライン会見でのコメント

JFA スペイン・ポルトガルでの活動を振り返り、手応えを聞かせてください。

ブルーノ 試合後のコメントでもお話をさせていただきましたが、この活動は18カ月ぶりのゲームをする機会を含んだものになっていて、W杯の準備としては非常に重要なものです。また、ヨーロッパで活動している選手の久しぶりの合流もあり、すごく充実したものになっていると感じています。特に今は、試合を行う期間に入り、ヨーロッパチャンピオンのポルトガル、前回のW杯チャンピオンのアルゼンチン、さらにベネズエラという新興の強豪国との対戦を経て、結果として勝利はつかめていませんが、今のプロセスを考えると、試合の結果については、もともと二次的なものという捉え方をしているところもあり、我々がここまで取り組んできたことの成果を確認できるかにポイントを置いています。その点では、適切な進捗をしているなと感じています。このまま進んでいければ、必ず望むべきところに行けるのではないかという感触を得ながら過ごすことができています。

Fリーグ 正式にW杯メンバー16名が発表されました。日本のファン・サポーターへ向けて意気込みをお願いします。

ブルーノ リストに関しては、サプライズはなかったと思います。これまでの流れのなかで固まっていたものが、今回、発表になったものだったと思います。従来のW杯では14名の選手リストになるところ、このコロナ禍という状況下もありプラス2名の計16名のリストインさせることが許されました。我々にとっては、非常に素晴らしい変更だったと感じて喜んでいます。年齢バランス、ポジションバランスを考えても、16名になったことは、私たちは非常に取りやすくなりました。特に若い世代の選手も入っていますが、アジアインドアゲームズを経て、A代表に入ってきている年代の選手、そして、それよりも上の世代の選手。この3代がバランス良く配合された、経験と勢いなど、いろいろなものをミックスしたリストにすることができて、非常に良かったなと、期待感に満ちている気持ちです。特に日本の場合は、W杯を目指して取り組んできましたが、9年ぶりの出場となります。前回大会の出場を逃している事実は無視できません。本来、私たちの力は、そういうものではないことをあらためて示し、W杯で主役級の活躍をすることが使命だと思っています。この(メンバー)リストをもってすれば、その目標を達成できるはずです。それに対しては、引き続き、目標達成に値する取り組みをすることが条件になると思います。今のところ、それはできていると思うので、そこに向けて、あらためて意思を固めるタイミングが、今回なのかなと思っています。

中日新聞 テストマッチの中身ですが、どういう部分に「間違いない」という手応えを感じてられていますか?

ブルーノ 結果には、決して満足していません。あくまでも現段階のプロセスとして、取り組みの進捗が確認できているところにあります。満足を得ている理由については、ポルトガル、アルゼンチン、ベネズエラという相手と対戦しましたが、ヨーロッパチャンピオンのポルトガル、前回W杯優勝のアルゼンチンを相手にも、非常に多くの時間帯、あらゆる局面でゲームを支配し、我々が目指す『イニシアティブを取って主役たるプレーをしていく』ことが、実際にできました。得点、結果としては付いてきていませんが、分析をすれば、それができています。ボールを持っている時も、ボールを持っていない状態でも、ゲームを支配している時間帯や回数が増えています。それが具体的なポイントになります。昨日のアルゼンチン戦でも、後半は特に顕著だったと思います。フィニッシュの成功という点が敗因になりましたが、それ以外では優位性を持っていました。アルゼンチンに、私たちに対抗するところで、なんとか耐えるという展開を強いることができたのは、私たちの目指すスタイルの顕著な表れ方だったと思います。

 また、ベネズエラという違うタイプのチームとの試合でもそうでした。試合終了間際に同点ゴールを許してしまうところはありましたが、同じように質の高い選手たちの集まりであるチームに対して、違うタイプであっても、多くの局面で、ボールを支配し、ゲームを支配する形は見せられたかなと思います。その意味では自分たちが体現しようとするスタイルで、どんな相手にも通用することを確認できました。それは非常に大きいかなと思っています。

中日新聞 欧州で活動している選手たちのチームへの馴染み具合、周りとの調和はどれくらい進んでいると感じていますか?
ブルーノ 確かに長い期間、チーム活動を共にできませんでした。しかし、その間もまったく一緒にいなかったかというと、そうではありません。共同生活をする時間こそありませんでしたが、透明な仕事、見えない取り組みをやってきていました。彼らは常に日本代表のメンバーとして、一緒に活動し、同じ時間を進んでいると感じてもらえるように、私だけではなく、コーチングスタッフからもコンタクトを取ってもらっていました。そうしたこともあり、今、チームに入って、一緒に時間を過ごして、トレーニングやゲームを通じて感じられていることは、チームというよりも人間的な結びつきが強くなり、共感、信頼、同調などのあらゆる部分で、ファミリーという関係性ができていると感じています。離れていたなという時間が、これだけ長かったと思えないくらいのグループの形成、調和を形成できていると感じています。これは、一つには人間性の質、ここに集まっている選手たちの人柄の質も、すごく大きな背景にあると感じています。みんながそうなっていく必要性を感じ、意図的にコミュニケーションをとったり、練習中も、それ以外の時間も、限られたなかではありますが、非常に関係性をつくる、意図的な働きかけをお互いにしていることがよく見えています。そういうことがあり、ヨーロッパ組という区別がまったくつかないくらい、非常に良い輪が作れていると感じています。

SAL トレーニングマッチについて、素晴らしい内容でポジティブな印象を受けているのですが、ベネズエラ戦の終わらせ方、アルゼンチン戦の入り方に課題を感じたが、トレーニングマッチなのでOKとするのか、監督はどうとらえていますか?

ブルーノ おっしゃっている2点、その評価、振り返りとして全く当たっていて、正しいと思います。まさに、そういった課題をしっかりと発見して、修正していくためにこそ、こういうゲームを計画しています。そういうエラーを予見するものではありませんが、そうしたことが起こることで、問題点や課題をあぶり出して、それに取り組んでいく。あらためて、検証をして、直して、意識して、改善していくためにやってきています。毎回の試合で新しい発見、できたこと、できなかったことを突き詰めながら、成長していくものだと思っています。

 実際にポルトガルとの試合では、ゲームへの入りが非常に良かったのですが、勝つことはできませんでした。その時には、課題がありました。ベネズエラとの試合に関しては、おっしゃるように最後のゲームのコントロールをどうするか、どんな注意が必要かは学ぶポイントとしてあります。さらに、その前の状況でゲームを決めて、そんな状況にならなくて済む展開にできたのも事実です。そういう部分にも目を光らせないといけません。

 アルゼンチン戦は、失点のシーンはありましたが、前半は拮抗したゲーム展開にできましたし、後半も数々のチャンスが生まれていたところで、得点に結びつけることできていれば、振り返り方も、見え方も違ったのではないかと思います。そうした改善すべき点、できた点を冷静に選別して、毎回、振り返りながらそれぞれにアプローチしていく。できていることは継続し、起きたことに対して、警鐘として捉えるべきことは、そうとらえて、改善していく。そのために、ここでシリーズとなる複数のトレーニングマッチを組んできました。そこに対しては、見方としては的中していますが、そのあぶり出しのために活動しています。次に継続して、修正しながら、さらに改善していくことを今は考えています。

SAL 実りのある練習試合だったということでしいですか?

ブルーノ そのとおりです。こうしたゲームを通じて、改善点を選別しながら、どの部分が一番、大事なポイントとなってくか。どういう部分を改善すれば、バランスの取れたチームに成長していくか。総合的に成長することが必要です。何を改善するかを洗い出すために、いろいろな背後の課題に目を向けながら、すべてに一気にとは、なかなかいきませんが、バランスをとって成長するために必要なこういうゲームになっていると思います。そのためには非常に実りの多い、ここまでの3試合となっていると思います。

フリーランス長野 セットプレーのチャンスが多かったと思いますが、セットプレーから得点を決めるにはあと少しの調整が必要なのか、どういう評価でしょうか?

ブルーノ そうですね。非常に手応えは感じています。ベネズエラ戦では実際に得点に結びつけていますし、アルゼンチン戦でもかなりゴールに迫る場面がありました。我々にとっては非常に大きな武器になっているシチュエーションです。最後のフィニッシュの精度が課題ですが、その部分を徹底的に磨きあげることがポイントかなと思います。セットプレーは、拮抗したゲームに入る段階で、ポイントでゴールを陥れる可能性があります。精度を高めることで大きな武器になりますので、これまでも働きかけた部分ではありますが、さらに磨きこんで、拮抗したゲームで使える武器に仕立てていきたいです。

FutsalX 9年前のW杯の前も、強豪相手に良いゲームはできていました。ただ、内容を振り返ると、当時以上に相手を押し込める試合が増えてきたと感じています。フィニッシュが課題という話もありましたが、フットサル委員長の北澤豪氏が目標をベスト4に設定していましたが、そこに行くためにも、強豪を相手にボールを握った時にどうするかをこれまで以上に煮詰める必要かなと思うのですが、攻撃面はフィニッシュを詰めていけばいいと感じているのか、これから先に詰めていくべきことがあると感じているでしょうか。

ブルーノ 「ベスト4」という話がありましたが、それはハートと想いからくる具体的な数値目標だと受け取っています。そのハートからすると、私は負けたくないので、心のなかでは『全部に勝って優勝したい』という気持ちでやっています。ただ、プロジェクトの進捗や現状を冷静に考えると、一気にベスト4や優勝という具体的な目標を置くよりは、一つひとつ勝利を積み上げるために働きかけていく。そのために、当初の目標はW杯の舞台に立ち返ることが、自分の最初のこの仕事を受けた時の要件でした。それを念頭に進んでいます。その先は一つずつ勝っていき、できるだけ高く遠いところに日本代表という船を推し進めたいと思っています。そのためにこそ、今回も最後の仕上げの段階で、ポルトガル、アルゼンチン、スペインと、どれも国際レベルのトップクラス、現在のチャンピオン、あるいはチャンピオン経験者という相手とのトレーニングマッチを組み、それを目指しています。

 攻撃に関しては、私たちが展開しようとしているフットサルの形が、今のところのゲームではできてきています。ゲームを支配しながら、より多くの機会をつくって、ゴールに迫ることはできているという認識を持っています。問題は、繰り返し、繰り返し、反復をしながら、意識を向けることで改善すること。それに尽きると思っています。こういう展開を数多くやって、その信念を持って続けていけば、必ず精度は高まると思っていますので、そこに注力をしながら、引き続き改善していきたいと思っています。

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