【日本代表】「世界に日本フットサルをリスペクトしてもらいたい」GKイゴールがW杯出場を切望する理由

【日本代表】「世界に日本フットサルをリスペクトしてもらいたい」GKイゴールがW杯出場を切望する理由

 日本代表選手は、国を背負って戦う。子供の頃からW杯への出場を願っていたGKピレス・イゴールは、そのことを強く理解している。

 2016年、フットサル日本代表がコロンビアのW杯に出場する権利を取っていたら、もしかしたらイゴールは、その時点でW杯デビューを果たしていたかもしれない。しかし、日本はアジア予選で敗退し、W杯の舞台に行く事は叶わなかった。

 2009年から日本でプレーするイゴールは、ブラジルの友人らにも「日本のフットサルのレベルはどうなんだ?」と聞かれることが多いという。W杯で日本が躍進すれば、それが答えになる。たとえば、W杯でベスト4に入る、決勝に進出すれば、それが日本のフットサルは強いんだという無言のメッセージになる。

 同時に、日本代表選手も、一人の人間だ。この5年間、イゴールの人生はまさに激動だった。結婚し、最愛の長男が生まれ、10万人に一人の難病といわれるギラン・バレー症候群を患い、日常生活を送ることも難しい状況に陥った。回復をするまで彼を懸命に支えた、彼の家族にとっても、イゴールのW杯出場は悲願だ。

 近年、イゴールがプレーするGKは、カザフスタンのGKイギータの出現と共に、その役割が大きく変わっていった。世界最高の舞台であるW杯は、イゴールが個人として自分をアピールできる場でもある。だが、彼にその欲求はない。

「自分が活躍しても、日本代表が勝てなければ何も意味はない」。

 昨日、ブルーノ・ガルシア監督は、「チームのために戦(いくさ)を戦えること」が、今回の選手たちに寄せている信頼だと語った。その精神を地で行くブラジル出身の守護神は、家族のため、そして日本の強さをアピールするため、41歳という年齢でキャリア初のW杯出場を目指す。

以下、オンラインインタビューでのGKピレス・イゴールのコメント

SAL ここまでのキャンプを振り返っていただけますか。

イゴール ここまで、とても良い雰囲気で活動ができていると思います。選手たちは間違いなく、毎回の合宿で素晴らしいパフォーマンスを見せています。いつも、すごい練習をやっているので、毎日、毎日、毎回、毎回、少しずつ成長しています。すごく良い雰囲気だと思います。自分としては、今まで良い練習をやっていますが、もっともっとレベルを上げないといけません。毎日、毎日、ウッチーさん(内山慶太郎GKコーチ)とトレーナーと練習をやっていて、もう少しレベルアップしたいと思います。

SAL 初めてのW杯が近づいていますが、どんな心境ですか?

イゴール 嬉しいですね。子供の頃からの夢が現実になろうとしています。だからすごくワクワクしています。W杯に行って、良いパフォーマンスを見せたいし、本当に嬉しいですが、『W杯のメンバーに入って嬉しい。これで満足』という気持ちではなくて、W杯に行って、日本代表として世界に日本のフットサルが、どれだけレベルが高いか、パフォーマンスで示したい。それが一番の気持ちです。先ほども言いましたが、本当に子どもの頃からの夢が叶おうとしているので、嬉しい限りです。

SAL 日本代表は2016年の予選でW杯出場を逃しましたが、当時はどう見ていた?

イゴール 間違いなく、寂しい気持ちになりました。あの時は、すごくもったいなかった。あのメンバーは素晴らしいメンバーで、すごく強いチームでした。W杯に行けなかったのはすごく悔しかったと思う。日本のフットサル界のためにも、W杯に出ていたら、もっともっと盛り上がっていたから、その意味でももったいなかったと思う。もし、W杯のメンバーに行けていたら、あの選手たちは良いパフォーマンスができていたと思います。だから、気持ちは悔しかったです。

SAL 日本のフットサルを世界で示したいという気持ちが強いんですね。

イゴール そうですね。日本のフットサルリーグは、海外では、あまり見られていません。僕はブラジルの友達にいつも質問されるのは「どんなリーグ?」「強い? 強くない?」「レベルはどう?」と聞かれます。W杯は、世界一番の大きな大会です。そこで結果を出すことで、素晴らしいプレーを見せたら、もっともっと世界でみんなにリスペクトしてもらえると思う。日本のフットサルを、もっと知ってもらえると思います。

Fリーグ 今回、毛利元亮選手が最年少で入っていますが、町田のチームメートで、何かアドバイスしていることはありますか?

イゴール 少しずつ彼とは話をしています。また、チームにベテラン選手の(金山)友紀さんも元亮にアドバイスしています。彼は若くて、気持ちがすごくある。熱い、自分を示したいというのがある。その気持ちは素晴らしいけれど、もう少しコントロールをしないといけない。それだけできれば、良いパフォーマンスを見せているし、そしてすごく成長も早い。自分からはそれだけ、気持ちのコントロールだけ。そこはもっとしないといけない。

FutsalX 合宿で攻撃面、守備面での成長しているところ、成長している手ごたえを感じていますか?

イゴール ここまではみんなが戦術、セットプレーを思い出していたところだと思います。もう大丈夫、練習も毎日やっているので、スタッフとも話をしている。戦術とか、セットプレーをやっている。全然、大丈夫。間違いないように細かいことだけ、タイミングとか、顔を出すとか、そういうところは練習をやっていけば、もっとうまくなると思います。ただ、今までのところは全然大丈夫。いっぱい練習をやっているので、大丈夫だと思います。

FutsalX W杯までに多くの親善試合がありますが、そこで楽しみな試合はありますか?

イゴール 今からW杯までの間だけではなくて、2016年からW杯まで、自分としてはすごく楽しんでいます。日本代表のユニフォームを着て、国を守って、それはすごく光栄です。毎回、毎回、楽しんでいます。これからも、W杯が近づいているなかで、世界の強い代表チーム、スペインとか、アルゼンチンとか、ポルトガルと戦えいますし、W杯に入ってからも、スペイン、アンゴラ、パラグアイと戦える。毎回、毎回、特別な試合です。

FutsalX この6年の期間というのは、帰化をして、子供も生まれて、病気もしてと、本当にいろんなことがあり、ここまで来ました。家族からは今回の招集に向けて、どういう言葉をかけられましたか?

イゴール そうですね。それを思うと、ちょっと感動してしまいます。本当にみんなサポートしてくれました。僕の嫁、子供だけではなく、いいことだけではなくて、病気もあったし、ケガも多くありました。本当に今まで、大変だったけれど、もうちょっとです。家族からは、すごくサポートをもらっています。本当に感謝したいです。それがあって、今もここでプレーできています。

FutsalX フットサルのGKの役割は近年、変わってきていて、カザフスタンのGKイギータが特に大きな変化をもたらしました。今回のW杯でイゴール選手が何か見せたいと思っていることはありますか?

イゴール 自分のプレーだけ見せたいということはありません。僕の考え方は、日本代表として、すごく活躍したい。自分だけ活躍して、日本の結果が良くなければ意味がありません。みんなで一緒に戦い、日本代表がベスト16に行く、準々決勝、準決勝、決勝、そして優勝まで行くことが一番大事だと思っています。

中日新聞 今回、メンバーが絞られての合宿です。3人のゴレイロの間で大切にしていることはありますか?

イゴール この3人、そしてウッチーGKコーチで、いつも話しています。お互いにいつもアドバイスをしていて、(矢澤)大夢からはイゴールは「これをやったらいいよ」とか、(関口)優志も、何をやったらいいか、お互いに言い合えています。もっと良いプレーをするために、いっぱい話し合いをしています。GKだけのミーティングもしていて、細かいこと、うまくなるために、いつも話をしています。

中日新聞 コミュニケーションをとれているということですね。

イゴール そうです。それは本当に大事です。優志は素晴らしいスローを出しているので、僕からは彼に「どんなタイミングでボールを投げている?」と聞いて、彼からアドバイスをもらったりしています。大夢もブロックが良いので、アドバイスをしてもらっています。そうやって僕たちは毎日、毎日、話をしています。

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