フットサル日本代表は20日より、静岡県浜松市で4日間のトレーニングキャンプを行っている。合宿3日目となる22日には、合宿に参加した4選手が取材に応じた。
三人目は、2017年に開催された第1回AFC U-20フットサル選手権にも出場したFP樋口岳志。当時、流経大サッカー部に所属していた樋口は、並行してフットサルのリーグ戦にも出場し、そこでのプレーが、当時U-20日本代表監督だった鈴木隆二氏の目に留まり、U-20フットサル日本代表に選ばれた。
その後、AFC U-20フットサル選手権後はJリーグ入りを目指してサッカーに戻ったが、大学4年次からはトルエーラ柏でプレー。昨シーズンの開幕前にFリーグ・ディビジョン1昇格を果たしたボルクバレット北九州に移籍した。結果的に、この選択が今回の代表入りを後押しすることとなった。
今回のフットサル日本代表は、インドアゲームズに出場するU-24日本代表に近い構成だが、名目上はフル代表。樋口は、初招集を喜びつつも、強い危機感と焦りも滲ませた。
SAL 日本代表に初招集されましたが、いかがですか?
樋口 率直にうれしいですし、頑張らなきゃなという感じですね。
SAL やってみた感想は?
樋口 すごく強度が高く、やらせてもらっています。
SAL (出身校の)流通経済大のホームページにも、OBの樋口選手が日本代表合宿に選出されたというニュースが出ていました。同期にもJリーガーが多く、サッカー日本代表MF守田英正選手も先輩ですよね? そういう刺激的な環境で何を学び、今、どう生かしているのでしょうか?
樋口 大学は、みんなサッカーですごい選手ばかりでしたし、練習も良い環境でやらせてもらいました。フットサル歴は浅いのですが、大学サッカーで学んだこと、球際だったり、体の使い方は生きていると思います。
SAL 大学時代の仲間からメッセージをもらったり、やり取りはありましたか?
樋口 はい。「おめでとう」っていうメッセージを、何通か、友達からもらいました。
SAL 守田選手とも絡みはあるのですか?
樋口 (守田は)2コ上だったので、あまり絡みはありませんでしたが、当時から絶対的な存在でした。何回かは話したこともあるんですけど、そんなにめちゃめちゃ仲が良いというわけではありませんでした。
SAL 今回、同じタイミングで日本代表初招集となった荒川勇気選手は、旭川実業高校サッカー部の同級生ですよね?
樋口 そうです、そうです。
SAL すごいストーリーだと思うんですけど。
樋口 高校を卒業して、同じ関東にはいたんですけど、別々の大学に進学してサッカーを続けていました。でも試合をする機会はなくて。(卒業後に)彼もフットサルをやることになって、「いつか同じチームでできたらいいね」と言っていたのですが、最初のチームが日本代表になるっていう(笑)。めちゃめちゃうれしいですね。
SAL 荒川選手とは、今回の代表招集後、話したことはありますか?
樋口 「頑張ろうね」くらいで、特に深い話はしていません。
SAL 高校時代はお互いFWだったと思うのですが、荒川選手はどんな選手だったのですか?
樋口 彼も体がでかいので、前線で起点をつくっていました。僕はFWというよりは、1,5列目だったので、僕がパスを出して…という感じでした。
SAL 次は2人そろってW杯であったり、国際舞台を目指したいところですね。
樋口 はい。
FutsalX 今回、日の丸を付けるのはAFC U-20フットサル選手権タイ2017以来です。今回は若手中心ですが、久しぶりに代表活動をした感触は?
樋口 (鈴木)隆二さんの時と練習内容も似ていますし、4年前に一緒に戦ったメンバーとこうやって一緒にやれるのは、すごく感慨深いです。うれしい気持ちもありますし、先に上に行っているメンバーもいるので、負けたくないという気持ち、どっちもあります。
FutsalX 当時はまだ「Jリーガーを目指す」と話していましたが、そこから大学卒業後はフットサルの道に進みました。その決断の過程を教えてください。
樋口 当時はサッカー選手になることを目指していたのですが、自分のなかでも厳しいなと思いました。フットサルではU-20日本代表に選んでもらっていたので、心のどこかで、サッカーが無理だったときにフットサルの道もあるのかなと思っていて、それで始めた感じですね。
FutsalX フットサルをやるなら日本代表に入るという思いは強いと思いますが、あの時、U-20日本代表に選ばれたことも大きかったのでしょうか?
樋口 そうですね。昨シーズン、ボルクバレット北九州でフットサルを始めて、本格的にフットサル日本代表になりたいという気持ちで、昨年1年間はやっていました。
FutsalX 北九州の前にトルエーラ柏にもいたじゃないですか(笑)?
樋口 柏でもやらせてもらっていました(笑)。でも、代表を意識したのは、F1で戦って、ボルクに入ってからですね。
FutsalX U-20の時からはポジションも変わってピヴォになりましたが、いかがですか。
樋口 本当、課題ばかりで、これから自分が伸びることが楽しみですが、僕が大学やF2でプレーをしていた時期に、名前を出すと(清水)和也とかは、どんどん上にいってしまっているので、焦りもすごくあります。けど、自分にできるペースでやっていっています。
FutsalX 北九州に移籍して馬場源徳監督の指導を受け、Fリーグ・ディビジョン1を戦い、そこに慣れるタイミングで、また日本代表という環境で、新たに個々のレベルが高い選手とキャンプをすることで、良い刺激を受けられているのではありませんか?
樋口 そうですね。僕より若い選手もいますし、すごいなと感じます。ベテランの方もいないわけではないのですが、もう自分は若くないんだなと感じています。
FutsalX 今、樋口選手にとって参考になっている、参考にしている選手はいますか?
樋口 チームで、ですかね?
FutsalX チームでも、今回の代表合宿で一緒にプレーして刺激を受けた選手でも、どちらでもいいです。
樋口 ボルクに加入して、外国籍の選手2人(ウーゴ・サンチェスとチャオ・クリスチャン)とプレーさせてもらったことですね。ウーゴ(・サンチェス)は、いなくなっちゃったんですけど(昨季限りで引退)、言葉では説明できないのですが、日本人にはない感覚を持っています。馬場さんもスペイン人っぽいですし(笑)。良い経験をさせてもらっています。
FutsalX この先、日本代表に残るために、今シーズン掲げている目標はありますか?
樋口 とにかく、成長することです。具体的な数字とか、何点取るとかは決めていなくて、「去年の自分を超える」っていう感じです。
FutsalX そのペースで清水和也越えはできそうですか?
樋口 ハハハ(苦笑)。頑張ります。