調子の良い証なのかもしれない。
バサジィ大分が名古屋オーシャンズと2-2で引き分けたプレーオフ・ファイナル第1戦後、チームの1点目を挙げたFP仁部屋和弘が繰り返したのは、「楽しむ」「楽しい」という言葉だった。
「楽しみですね。試合がどうこうというよりは、今日の試合もすごく楽しい気持ちですし、明日も楽しみな気持ちしかないですね」
大一番に向けて、何か気合の入ったコメントを引き出そうとする記者団に対して、「すみません! コメント使いづらいですよね」と、笑顔で謝罪しつつも、「でも、思っているのは、本当にそんなことなんですよね。だから、特に書くことはないかもしれませんが(笑)」「今、ここでプレーしているのが本当に楽しいですし、あとは勝つだけですね。大丈夫ですか? (コメント)使えますか?」と、充実感を繰り返した。
ボールと戯れるように、相手を抜き去っていくドリブラーにとって、大事なのは今なのだろう。2年前にチームは最下位になり、一時は自身もプレーから遠ざからなければいけなかった。そんなことを乗り越えて、いよいよ日本一が手に届く位置にあるのだが、感慨は微塵もないようだ。
「まぁ、楽しみっていうだけですね。明日に関しては、それしか浮かばないじゃないですか? 第1戦を引き分けて終えて、第2戦でも、こうやってプレーできる幸せ。フットサルって楽しいなって思いますね」
「そんなに僕は、そこ(初優勝の歴史をつくること)を大きく考えていないというか、それよりは楽しく勝つということが一番ですね」
そう言って笑う大分の10番が第2戦を終えて、再び「楽しかった」と言えていれば、おそらく、それは日本フットサル界に新たな歴史が刻まれた時になるだろう。