【女子F】3連覇に望みをつなげたアルコイリス神戸FP若林エリ「決勝進出は最低ライン」

【女子F】3連覇に望みをつなげたアルコイリス神戸FP若林エリ「決勝進出は最低ライン」

 日本女子フットサルリーグは、118日と19日にプレーオフの準決勝を行い、レギュラーシーズンで2位のアルコイリス神戸と福井丸岡ラックが対戦した。第1戦を63で勝利した神戸は、第2戦を12で落としたが、2試合合計75で丸岡を上回り、3連覇へ望みをつなげた。

 準決勝の2戦目は神戸にとって苦しい試合となった。序盤からファイナル進出のために、4点差をつけて勝利をしなければいけなかった丸岡の猛攻にさらされたのだ。しかし、過去2年連続で日本女子フットサルリーグを制してきた神戸は、最後のところでゴールを割らせずに相手の時間帯を無失点で耐え抜いた。

 そして前半16分には、コーナーキックの流れからFP若林エリが先制点を挙げた。このゴールは神戸に自信をもたらし、丸岡に大きなダメージを与えるものとなった。結局、後半には丸岡が2点を挙げて逆転したが、2試合合計スコアで上回った神戸がファイナル進出を決めている。

 先制点を挙げた若林をはじめ、FP小村美郷といった経験豊富な選手がいる神戸は、女子日本リーグ2連覇を含め、近年、国内の女子クラブで最も多くのタイトルを獲得してきた。しかし、今季は無冠に終わる可能性がある。関西リーグで2位となった彼女たちは、今季の地域チャンピオンズリーグに出場できないため、この女子日本リーグがタイトル獲得のラストチャンスなのだ。

 だからこそ、プレーオフファイナル進出に決まっても、若林は「最低ライン」と話した。そして今季、大きく選手が入れ替わったチームの課題について、「『どういう流れか』ということを感じ取れる選手が増えて、『いま何をしないといけないか』が判断できるようにならないと、今日のような試合になってしまうかなと思います」と、いまのチームの課題も口にした。

以下、試合後の若林エリ選手のコメント

――決勝進出の気持ちを聞かせてください。
若林 最低ラインである決勝に行くことはクリアーできましたので、そこはOKですが、内容や今日の結果には納得がいっていません。そこをあと1週間しかないなかで、どう修正するか。もう、しっかり次に切り替えています。

――昨日の試合で3点差をつけたこともあり、丸岡はアグレッシブでした。その違いを感じながら、どう戦おうとしていましたか?
若林 相手は点を取らない状況だったので、守備よりもオフェンスに力を入れて来ることがわかっていました。試合前から「守備からしっかりして入ろう」と話していましたし、相手が前がかりになった時は、自分がピヴォでしっかり受けて、そこから押し返せたらいいなというのがありました。でも、昨日の疲労度もあり、精度が落ちていましたし、自分自身の(ボールの)収まりが悪かったので、そこがちょっと苦しくなった要因かなと思います。

――序盤はかなり押し込まれる展開になりましたね。
若林 そうですね。自分たちのセットであったり、もう一つのセットが、結構、全く違うチームなんです。自分たちは攻撃が主体だったと思いますし、もう一つのセットは守備的なセットなのですが、自分たちのところで失点してしまうと、すごくしんどくなってしまいます。点が入るまで、なかなか時間がかかったり、昨日に比べるとシュートまでいく過程が少なすぎたので、『どういう流れか』ということを感じ取れる選手が増えて、『いま何をしないといけないか』が判断できるようにならないと、今日のような試合になってしまうかなと思います。

――耐える力はすごいなと思っていたのですが、まだ足りないのですね。
若林 そこは各セットに自分だったり、小村(美聡)だったり、勝負所をわかっている選手がいるので、耐えられたかなと思いますし、もう一つのセットでは市原(伶香)も後ろに入ってくれて、前の若い2人をどう動かすかとか考えてくれました。
 自分のところは、もう少し前プレをしっかりかけられたらもう少し良かったかなと思うのですが、結構、ハマらなかったので。昨日はハマって、相手のミスを誘発して自分たちのペースになったのですが、そこが今日は足りなかったかなと思います。

――難しい展開で、チームにとって大きな先制点を取りました。低い弾道で見事でしたよね。
若林 昨日も小村が決めていましたし、相手はチョンドンを警戒していたと思うんです。そのなかで、枠にしっかり飛ばすこと、可能性を残すことは常々意識しています。ああいう試合でセットプレーは非常に大事ですし、相手が嫌がっていることだと思うので、意識しています。あの距離は得意で、結構決めているイメージもありました。

――相手に当たったのですか?
若林 誰にも当たらずに真っすぐいって、GKも反応しきれなかったと思います。少しだけかすったと思います。

――コースとしては、そんなにゴールの隅ではなかったですよね?
若林 そうです。でも、自分がポジションを少しずつズラしていったんです。 

――どういうことですか?
若林 最初は、私よりもコーナーキックを蹴る選手に近い選手がいたんです。その選手に短い距離のチョンドンをすると思っていたんです。私は最初、スリーラインを形成していたのですが(※キッカー、キッカーの近くにいた味方、若林の3選手が同じ線上に並ぶこと)、相手のポジションを見て、相手が見ていない時に移動して、よりゴールの中心に動いたんです。 

――GKが顔を上げて、次に見た瞬間は、最初にいるはずだったポジションからズレていたんですね。
若林 そうです。スリーラインを形成していた最初の位置であれば、GKはニアのコースを切っていればいいのですが、自分がズレたことで、(GKが)パッと見た瞬間に一歩動かないんです。その動作の時にはボールが飛んでいるので、そっちには反応ができないんです。 

――そこまで計算されているんですね。
若林 一応は。でも、あとはミートすることしか考えていないので。しっかり枠に飛ばすことだけですね。枠に飛ばせば(加藤)正美もいたりするので、こぼれ球に詰めてくれるので、そういうところも狙いました。ああいう試合は、ああいうセットプレーも重要なので。

――そのゴールもあり、ファイナルへ勝ち抜きました。ファイナルで待っているバルドラール浦安との試合に臨むうえでもメリットがあるのでは?
若林 昨年はファイナルだけでしたが、2年前も今年と同じように準決勝で(福井丸岡)ラックと対戦して、決勝で府中と対戦したんです。

――そうでしたね。2年前もレギュラーシーズンは2位でプレーオフに進出したのでしたね。
若林 はい。開幕直後に私たちが2連敗して、2位でプレーオフでした。その時も、準決勝を戦っていきました。試合勘という部分では、戦って臨んだほうがいいですよね。自分たちも試合から1カ月くらい遠のいていたんで。 

――前回の試合はいつだったのですか?
若林 府中がホームだった時の女子日本リーグの試合(1221日○21)ですね。そういう意味では、いきなりファイナルで試合があるよりも、入りやすいとは思います。浦安は関東リーグが最後で少し空いていると思うので、その試合勘の部分は生かしたいですね。ただ、疲労はみんな結構、あると思います。

――やっぱり2連戦はきついですか?
若林 結構、きついですね。スポーツコートだと普段と少し感覚が違って、体への負担も大きいんです。昨日はラックの選手も何人かは視野からピュンって消えていたりしましたしね。 

――転んでしまったんですね。
若林 そうです。やっぱりそこの負担は大きかったですね。 

――若林選手が倒れる場面もありましたが、状態は大丈夫ですか?
若林 全然大丈夫です。問題ありません。

――第1戦が262人、第2戦が304人。ちょっとプレーオフにしては集客が少ない2連戦になりました。最後、ファイナルに向けて一言、お願いします。
若林 今回は、西に本拠地のある2クラブが、関東で試合をしたのですが、自分たちからの発信をもっともっとしないといけません。また魅力のあるスポーツですし、有料で来てもらっている以上は「お金を払って良かったな」と思ってもらえるような試合をする責任があると思います。そのためには、各々の選手であったり、各チームであったりの発信が大事だと思います。そういうこともやっていかないといけません。あとは自分たちが良いプレーをすること。フェアプレーも大事ですが、そういうところで魅力も発信出来たらと思います。遠方で試合に来られない人は、動画配信で見てくれたりしてくれるので、それを見たことで「やっぱり応援にいきたいな」という気持ちになってもらうことが大事だと思います。

――準決勝の2試合を見て、「やっぱり行きたい」と思った人もいるかもしれませんね。
若林 そうです。なので、そうして「常に見られている」と意識したいです。お金はもらっていませんが、プロフェッショナルとして、日本のトップリーグである日本リーグの選手として、やらないといけないところだと思うので、そこは意識したいです。それに自分が出ている時に「アイツ、面白いな」と思ってもらえるようにプレーをしたいなと思っているので、今日、見に来た人にも、また見に来てもらいたいと思います。

――2試合連続でゴールを決めましたし、ファイナルでのゴールパフォーマンスも楽しみにしています。
若林 はい。頑張ります!

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