【インタビュー】元ジェフ千葉のFP乾達朗が語るFC NAKAIへの愛着「みんな『もっともっと』という意識が強くなっている」(後編)

【インタビュー】元ジェフ千葉のFP乾達朗が語るFC NAKAIへの愛着「みんな『もっともっと』という意識が強くなっている」(後編)

 FP乾達朗は、Jリーグのジェフユナイテッド千葉の育成組織時代にはサッカーの年代別代表にも選ばれ、その後、トップチームに昇格。東南アジアを中心に、海外のリーグでもプレーしてきたサッカー選手だった。

 そんな彼が、今年3月に発足したFC NAKAIの一員としてフットサルをプレーしている。サッカーの夏の移籍市場が開幕する前に一度はチームを離れたが、その後、復帰を果たし、現在は23日に始まる全日本選手権東京都決勝大会に向けて準備をしている。

 サッカーのプロとしてプレーしてきた乾が、なぜフットサルをプレーする決意をしたのか。彼の目にフットサル界はどう映っているのか。そして、FC NAKAIでプレーすることでどんな発見があったのか。思いを聞いたインタビューを前編、後編の2回に分けてお届けする。

以下、乾達朗インタビュー後編

――FC NAKAIの活動が終わった後というのは、フットサルを続けていきたいという思いはありますか?
乾 今のところはFC NAKAI以外で続ける気は、まったくありません。3月までやったら、フットサルから離れると思います。でも、このチームで3月まで勝ちたいですね。この後にFリーグでプレーしたいと思うようになれば、このチームへのアプローチも変わると思うのですが、今はただただこのチームで試合に勝ちたいという気持ちだけでプレーしているので、チームの勝率が上がるために自分も振る舞いたいと思っています。

――FC NAKAIFリーグクラブの育成チームとも対戦しています。レベルの高い相手ともやっていますが、そこでこの競技をもっと突き詰めたいという気持ちにはなっていない?
乾 浦安セグンド、ゾット早稲田と対戦した時など、個人としても、チームとしても大きな差は感じました。サッカーの時は『個人的に勝ちたい』とずっと思っていたんです。『あいつ、うまいな』という選手がいたら、『あいつよりうまくなりたい』という感覚でした。例えば高校の時、サッカーでU-17日本代表に呼ばれて、初めて柿谷曜一朗を見た時、『こんなやつがいるんだ!』と、すごい衝撃を受けました。『あんなプレーをしたいな』と思って努力したり、そういう気持ちでやって上を目指したんです。でも、フットサルでは浦安セグんどにも、ゾットにも、勝てなかったし、相手がうまいなと思ったんですが、『どうにかして、チームで勝ちたいな』という感覚だったんですよね。個人的に一人だけ勝つというよりは、たとえば自分たちよりうまい相手とやる時は、戦術でどうにかハメて勝つようにしたいとか、そういう気持ちなんですよね。だから、フットサル選手として、個人として、続けたいという気持ちにはなっていなんですね。

――そこまでFC NAKAIに愛着があるんですね。
乾 そうですね。結果を残さないと、評価してもらえません。今は特にYoutubeで発信して、すごくいろいろな人も見てくれています。でも、勝った時しか評価されないし、そもそも負けたら終わってしまうので。だから、勝つことの面白さは強く感じています。いろいろと周りにも言われるし、その声が直接聞こえてくるぶん『勝たないといけない』と強く思います。

――勝利して、番組が続き、「FC NAKAI」「Fの頂」も大きなものになってきました。
乾 最初の試合もほとんど見に来ている人はいませんでしたが、勝って試合を重ねるごとに人は増えてきています。この前も500人くらいの人が見に来てくれましたからね。それは予想できたものではなかったのですが、「このチームで何かを残そう」というのはあったと思います。みんな、驚いてはいますけどね()。でも、みんな「もっともっと」という意識が強くなっていますよ。

――今後の戦いは20分ハーフの試合になります。FC NAKAIはかなりほとんどの時間を同じ選手が戦っているので、ここからはより難しくなると思います。
乾 俺もほとんど出ていませんからね。それもサッカーとは感覚が違いますね。サッカーだと選手交代はほとんどないですし、ベンチに下がったらもう出場することはありません。でも、フットサルだとグルグルグルグル交代するじゃないですか? だから、相手が疲れている時に出場すれば、結果を出せるんじゃないかとも思うんです。それも戦略ですし、フットサルの面白いところですよね。どこでどの選手が出るのか。1分だけ出て、そこで仕事ができて評価される選手もいるでしょう。だから自分の仕事や役割をサッカーよりも、細分化して明確にできるとも思うんです。これだけ、これだけ、これだけっていう感じで、生きていける選手もいるんじゃないかなと思います。だから自分もポイント、ポイントで結果を出せるように準備はしたいなと思っています。まだ、なかなか自分の強みをどう生かすかを模索しているところですけどね。そんなに簡単にできるものでもないと思いますし。この時、こうすれば自分は結果を出せるという強みを、今は探しているところです。

――そこもチームが勝つために、フォーカスしているんですね。
乾 もちろん長い時間プレーできれば、そのぶん、結果も出せると思います。でも、監督、コーチがどうしたらチームが一番勝てるかを考えてやっているので、自分の仕事が長く出ることではなく、「1分間出て、そこで決めてくれ」と言われるなら、そこにフォーカスしたいですね。

――次の相手は都1部リーグを戦っているNeoです。
乾 分析は監督、コーチがやってくれていています。その戦術を僕らがやろうとしてトレーニングしているところです。今は週に5回トレーニングをしていますね。

――そろそろFC NAKAIを止めないといけないという声も上がってきています。
乾 そうですよね。僕らも試合前は、負けると終わってしまうので、怖さはありますよ。過去にも個人としては『今日、負けたら契約がないな』と感じることはありましたけど、チーム自体がなくなるというのはなかったので、その緊張感はすごいですよね。勝負事は、やっぱり難しいですから。どれだけ準備して、そこでどれだけうまくいっても、勝てない時はあります。だから、その緊張感は試合が終わるまでなくなりませんよ。

――あと3つ勝てば、関東大会進出ですよね。
乾 そうですね。またスケジュールがすごいですよね。1日に2試合とかありますよね?

――あります。先日、JFA女子フットサル選手権に行ってきましたが、優勝したチームは3日で5試合やりますからね。
乾 今は元Fリーガーの選手が長く出ていますが、そういうスケジュールになってくると、俺もそうですが、元Fリーガーじゃない選手たちが結果を出せないと、なかなか体力的にも厳しくなってくると思います。だから、より多くの選手が試合に出られるようにしないといけないなと感じています。

――そのボトムアップは必要ですね。
乾 はい。でも、明らかにみんな良くなってきていますね。

――サッカーから移って、フットサルの競技の可能性ってどう見ていますか?
乾 自分のことで精いっぱいなので、そこまで大きな目で見れていないのが正直なところですね。ただ、「サッカーは点がなかなか入らないからつまらない、バスケットはいっぱい点が入るから楽しい」という人もいると思いますし、シンプルに展開が早いから、その面白さは感じてもらえるのではないでしょうか。それにバチバチ当たりあう場面もあるし、見ている人は面白いんじゃないかなと思います。

――「FC NAKAI」と「Fの頂」が、どれだけフットサルを広められるかも注目したいなと思っています。
乾 もとはといえば(中井)健介がフットサル界を盛り上げたいと始めたので。僕もそうですが、サッカーをやっている人はもちろん、ほとんどの人がフットサルに興味ないと思うんです。サッカー選手同士の会話で、フットサルの話なんてしたことありませんでしたから。Fリーガーに友達がいて、食事に行ったよ。フットサルの話をしたよ、という話はしましたが、サッカー選手同士の話題でフットサルが話題になることは僕のキャリアで一度もありませんでした。

――野球とから、ラグビーとは、また違いますよね。スポーツ新聞の記者も、選手にぶつける話題はメジャースポーツになりますからね。
乾 はい。フットサルの話題の一つに最近「Fの頂」が上がっているのは、ポジティブかなと思います。僕自身もサッカー選手に聞かれたりしましたし、「達朗が戻ったんだね。また見るよ」とJリーグの選手、海外の選手も連絡をくれましたそういう選手は初めてフットサルを知ったのではないかなと思います。

――もう一つ、今後、乾選手がどれだけフットサルに夢中になっていくかも注目しています。
乾 そうなったら自分にとっても、新たな発見ですね()。まずは集中して東京都決勝大会に臨みたいと思います。

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