【スペイン】サポーターの大きな後押しを受け、バルセロナが国内3冠、4度目のリーグ制覇

【スペイン】サポーターの大きな後押しを受け、バルセロナが国内3冠、4度目のリーグ制覇

 バルセロナが、2012-2013シーズン以来のリーグタイトルを手にした

 2018-19シーズンのバルセロナは、スペインカップ、コパ・デル・レイ、そしてリーグと国内のタイトルを独占。同時に、リーグ5連覇をしていたインテルの黄金期に終止符を打った。

 試合翌日のバルセロナ寄りのスポーツ紙『ムンド・デポルティーボ』は、キャプテンのセルヒオ・ロサノがトロフィーを掲げた瞬間の写真を「ラ・クアルタ!(リーグ制覇4度目!)」という見出しと共に一面に掲載した。サッカーが毎日のように1面を飾る同紙において、フットサルが一面となるのは、稀なことだ。すでにサッカーはオフシーズンで、他の競技に目立ったニュースがなかったこともあるが、サッカーのトップチームが悲惨なシーズンの終わり方をし、自尊心が傷つけられたバルセロニスタにとっては誇りを保つという精神衛生上において、フットサル部門の6年ぶりのリーグタイトル奪回は大きな出来事だった。

 プレーオフ決勝は5試合のうち、先に3勝したチームが勝者となる。1、2節はファイナリストのうち、レギュラーシーズンで上位のチームの本拠地で行われ、3、4節は下位の会場で行われる。そして5節まで決着が持ち込まれれば、上位のホームタウンに戻って行われる。

 今シーズンのプレーオフ決勝は、レギュラーシーズン1位のバルセロナと2位エルポソで争われ、4戦目を終えて2勝2敗。5試合目で王者を決めることになった。

 王者を決めるバルセロナの本拠地パラウ・ブラウグラナには、6,371人の観衆が集まった。当然のようにスタンドの9割は、バルセロナを応援し、エルポソに野次を飛ばす。

 そんな館内の空気を仕切るのが、バルセロナのバックスタンド左隅に陣取るサポーター集団、「ドラックス1991」だ。ドラックスとはカタルーニャ語でドラゴンたちを意味する。フットサルだけでなく、バスケットボール、ハンドボールといったパラウ・ブラウグラナで行われるゲームで声を枯らす黄色のシャツを着たグループは、コート内にも大きな影響を与える。

 プレーオフ決勝1節はバルセロナが7-2で大勝した。ホームチームは前半10分から13分の間に先制点を含む4ゴールを立て続けに決めた。エルポソのアルゼンチン人指揮官ディエゴ・グストシィは2失点をした時にタイムアウトをとったが、その流れを断ち切れなかった。チームは、その3分間、大きな波に飲まれる砂城のごとく、ただ崩壊するしかなかった。

 エルポソはこの時、ドラックスが左斜め後方にいるゴールを守っていた。バルセロナの攻撃だけでなく、彼らの掛け声もまた大きな波となり、エルポソに深刻なダメージを与えていた。その証左に2節、そして5節とエルポソのキャプテン、ミゲリンはコイントス後に前半はドラックスがいないゴール側の陣地を選んでいた。前半でゲームを殺されないための対策だった。

 決勝5節で最も会場を揺らしたのは、スペイン代表セルヒオ・ロサノだった。フィクソとして相手ピヴォを封じるタスクを課されていたが、その攻撃力も健在だった。見事なミドルシュートから得点を奪い、この夜の主役となった。彼を含め、バルセロナはワンプレーで戦況を変えられる選手が集っていた。プレーオフ決勝5試合5得点、シーズンを通して公式戦では55ゴールを決め後にリーグMVPに選出されたブラジル代表フェラオ、決定的なセーブをしたスペイン代表ファンフォなどタレントが揃う。特に決勝では現在、世界で最も1対1が強いディエゴが怪我のため欠場した。だが、彼の不在を感じることはなかった。世界で最も予算があるクラブだから当然なのだが、選手層の厚さも国内3冠達成の大きな要因のひとつだった。

 試合後、バルセロナの選手たちはトロフィーと共に、ドラッグスの前に立ち、その打楽器の音に合わせて、何度も何度も踊っていた。シャワーを浴び、着替えたエルポソのアレックスは、裏口からその風景を見ながら「これ以上、俺たちに何ができるんだっていうんだ」とつぶやいていた。エルポソは文字どおり全力を尽くしたが、スペインカップに続き、プレーオフも決勝でバルセロナを前にタイトルを逃した。

 

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リーグMVPに選ばれたバルセロナのブラジル代表ピヴォ、フェラオ

 

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決定的なセーブでバルセロナを何度も救ったファンフォ

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バルセロナのキャプテン、セルヒオ・ロサノ。現メンバーで彼とアイカルドの2人だけが6年前のリーグ制覇を経験していた

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国内のタイトルを独占したバルセロナ

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