【U18選手権】作陽高校にとって痛恨だったGAViC杯の廃止 三好達也監督「ああいう場に出られるかどうかが一番大事だった」

【U18選手権】作陽高校にとって痛恨だったGAViC杯の廃止 三好達也監督「ああいう場に出られるかどうかが一番大事だった」

8.3 6U-18選手権 作陽高 5-4 不二越工業高 浜松B

 U-18フットサル選手権は、今大会で6大会目を迎えた。この大会に第1回大会から、第6回大会まで、すべてに出場している唯一のチームが、サッカーの名門校として広く知られる岡山県作陽高校である。

 今大会でも彼らはレベルの上がった中国大会を制し、全国の舞台にたどり着いた。しかし、全国大会では初戦でシュライカー大阪U-18(関西2/大阪府)0-3で敗れると、第2節でも聖和学園高校フットサル部(東北/宮城県)1-2で敗れた。

 フットサルを専門的に取り組んできた2チームから勝ち点を挙げられず、第3節を前に初のグループステージ敗退が決定した。その後の不二越工業高との試合で1勝は挙げたが、これまでの実績や輩出してきた選手を考えると、残念な結果だった。

 要因はいくつかある。昨年、U-20日本代表FP橋本澪良(現大阪成蹊大)を擁したチームは、夏のU-18選手権後に、全日本フットサル選手権にも出場した。それにより新チームへの移行が遅れたのだ。また、三好達也監督もサッカー部の指導を行うことになり、これまでほどフットサルの指導に時間がとれなくなった。

 そして痛恨だったのが、GAViCカップ(ユースフットサル選抜トーナメント)の中止だった。一昨年の3月まで行われていたこの大会で、作陽高はフットサルの年間の活動をスタートさせた。この大会でフットサルを経験することで、選手たちはフットサルに対する気持ちが変わり、その後の取り組みが変わっていったという。

 ところが、日本フットサル連盟はこの大会を打ち切ってしまった。これによって作陽高の選手たちは、フットサルの全国大会を経験できず、ほぼぶっつけ本番で全国大会を戦うこととなってしまったのだ。

 FutsalXとしては、Fリーグ誕生から10年以上がたち、すでに大義のなくなってしまった全国選抜大会をやめ、将来のトップ選手発掘につながるGAViCカップを再開させるほうが、日本フットサル界にとって意味のあることだと考える。実際、GAViCカップとU-18フットサル選手権に出場した選手たちのなかから、多くの選手がフットサル日本代表候補にまで名を連ねるようになった。かつてFリーグがなかった頃、全国選抜大会は日本のトップレベルの選手たちが集まり、非常に見応えのある、日本代表の強化にもつながる大会だった。

 もちろん今も全国選抜大会に出場することを目標に掲げている選手が皆無だとは思わない。だが、昔ほどの意義は感じられない。

 作陽高校の例を見ても、時代に沿った整備が必要なのではないだろうか。

以下、グループステージ終了後の作陽高 三好達也監督のコメント

――6大会連続の全国大会出場を達成したものの、作陽高校にとっては初のグループステージ敗退でした。今大会を終えてどのような感想をお持ちですか?

三好 一番、大会を通して感じているのが、フットサルの準備をちゃんとしていないと、まったく勝ち点を取れないなということです。また、うちのグループで感じたことは、GKのレベルが高かったことです。失点が少ないグループだったので、そのなかでどうやって相手から点を取るか。相手がハーフまで撤退した状態で点を取るためにはクオリティが必要ですが、そのクオリティはうちの選手にはありませんでした。

――チャンスをつくるところまではいっていたんですけどね。

三好 やっぱり「決め切る力」という言葉で簡単に言ってはいけないと思います。これくらいのプレッシャーで来るだろうなという予測が、普段、フットサルをやっていないとできないんだなと思いました。

――その順応については、これまでのチームはもう少し準備期間が長かったと聞きました。今回のチームがフットサルに取り組んだ期間は?

三好 3カ月ですね。

――どれくらいの期間が必要だと感じましたか?

三好 3カ月だったとしても、もう少しできることはあると思うんです。これまでは春の全国大会(GAViC CUP)がありましたが、それがなくなってしまいました。ああいう場に出ることができたかどうかというのが一番大事だったなと。それがなかったことが大きかったですね。

――そこで一度、本当のフットサルに触れて、そこに向かっていく準備ができていたわけですね。

三好 はい。

――ただ、来年もこの大会が戻ってくるという話はないので、準備を何か変えなければいけないと思います。

三好 クワトロの感覚はサッカーでも大事です。飛ばされた瞬間にカーテンをかけるとか、人の間に立って、一回(パスを)受けようとするけど、受けられなかった時に違う動きに変えていくということが、サッカーをやっている子はできません。フットサルボールとハンドボールのゴールが学校にはあるので、今後は下級生の間にそういう取り組みをしようかなと思います。それを形というより、こう動いて、こう動いて、というふうにやっていき2人組をもっと早くどんどんつくれるようになったら、サッカーも絶対によくなると思います。これまでは具体的な練習メニューに落とし込めていなかったので。考え方だけを落とし込んでいたので、そういうふうにして連続性をもってできるようにしたいですね。

――1年生、2年生から足掛かりになるようなものをということですね。

三好 そうですね。その方がフットサルにもそうですが、サッカーにも絶対に生きると思うので。

――今後、今大会に出場した選手たちはサッカーに戻るのでしょうか?

三好 そうですね。基本的にはもうフットサルをやる気持ちはないでしょうし、選手権も出ないと思うので、多分。

――もったいないですね。次のU-20AFCフットサル選手権の世代でもあるのに。今年の全日本フットサル選手権は見ているんですよね?

三好 はい。バルドラール浦安戦は見ていました。

――でも、フットサルはやる気ない?

三好 僕も熱くなりきらせることができませんでしたね。クワトロとかをやっていくと、面白みというのがわかると思うんです。でも、ピヴォ当てのピヴォのパワー勝負と結局、最後は11という。その技術の練習にはなっているのですが、もう一つ熱くなり、駆け引きが面白いなというところまではいけませんでした。そこが一番、残念ですね。アプローチの仕方で、フットサルの面白いところまでいくところができませんでした。これは僕の指導のせいですね。そこですね。そのアプローチの方法を3カ月で変えたいなと思います。

――来年の3年生にはやりたそうな選手はいますか?

三好 そうですね。例年、いることはいます。ただ、地域のなかでも、中国地域の他のチームのレベルも上がってきているので、そのなかでちゃんと7年連続出場ができるようにしたいですね。

――唯一になりましたからね。

三好 唯一になりましたからね。第1回大会から皆勤なので、それは守っていきたいですね。あとはフットサルをこうやって7回見てきて、明らかにレベルは上がっている印象もあります。

――グループステージからこれだけドラマが多くありますからね。

三好 それはすごく感じているので、来年もまた出場できるように取り組んでいこうと思います。

 

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